2013年2月15日(金)
課税逃れ 多国籍企業を国際規制
ドイツ首相が要求
メルケル独首相は13日、ドイツ北部で演説したなかで、多国籍企業の税逃れへの対策をとるよう提案し、租税回避地(タックスヘイブン)についても主要国として改革にとりくむよう求めました。経済協力開発機構(OECD)はこれに先立つ12日、多国籍企業の税逃れを阻むため、国際的な法人税の諸規範の全面的見直しが必要だとする調査研究を発表しました。(小玉純一)
メルケル首相の提案は、米欧日、中国や新興国から成る主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(14、15日、モスクワ)を前にして行ったもの。
同首相は、世界的規模の巨大企業が租税回避地でわずかな納税をしているだけで、ドイツを含めた欧州各国で税逃れをしている現状があると指摘。「それだけに今年(6月)英国で開く主要国(G8)サミットで租税回避地問題に決着をつけるつもりである」と表明しました。
OECDによると、加盟国内で、中小企業が法人税を最大30%支払っているのに対し、いくつかの多国籍企業は5%しか支払っていません。
OECDは、現行の諸規範について、国境を超えた経済統合、知的財産権の価値などを適切に反映していないと分析。支払われなかった法人税額を計算するとともに、世界的税制度の統合強化のスケジュールと方法論を提示する行動計画案を、今後数カ月かけて提示するとしています。
英紙ガーディアンによると、OECDのグリア事務総長は「諸企業には活動する管轄地(国、領域)で法人税を支払う義務がある。市民はすでに金融制度に不信感を抱いている。大手企業が納税せず、中小企業と中間層に負担させるなら(税制上の)民主主義を損なう」と語っています。