2013年2月16日(土)
北朝鮮の核実験に国際社会はどう対応すべきか
志位委員長の会見から
日本共産党の志位和夫委員長が14日の記者会見で、北朝鮮の核実験問題に関する質問に答えた部分を紹介します。
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軍事にたいして軍事で構えるのは悪循環になる
――昨日、自民党の石破茂幹事長が東京都内で講演した際に、北朝鮮の核実験に関連して敵基地攻撃能力をきちんと検討すべきだということをのべていますが、こうした核実験を受けての対応のあり方についてどう考えますか。
志位 核実験自体は、国連安保理決議違反であり、地域の平和と安定にたいするきわめて危険な逆行ですから、私たちは事前にも警告し、強行されたさいには、きびしく糾弾、抗議するという態度表明をいたしました。
同時に、北朝鮮が核実験をやったことにたいして、軍事でことを構える方向に行くというのは、私たちは賛成できません。相手が軍事でやってきたから、軍事でもっぱら身構えるというのは、これは悪循環になりますね。
今後、何よりも大事になってくるのは、いかにこの問題を対話によって解決していくか、この問題を対話による解決というレールにのせることだと思います。
北朝鮮を対話のテーブルにつけるために、国際社会が一致して制裁を実効あるものに
志位 対話による解決というレールにのせるうえで、中国を含む国際社会が一致して制裁を実効あるものにする、これが私たちは必要だと思っています。その場合、こうした制裁の強化は、制裁のための制裁ではなくて、北朝鮮を対話のテーブルにつけるという目的をはっきりすえておこなうことが大切だと思います。
この問題の経過を見ますと、2005年の9月の6カ国協議の共同声明で、北朝鮮は、ともかくも核兵器の放棄に合意したわけです。にもかかわらず、2006年には核実験を強行しました。その後も、また前向きな合意や動きがありました。しかし、2009年に2度目の核実験を強行しました。さらに、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に代わったあと、昨年の2月に核・ミサイル開発は凍結するという米朝合意を結びました。しかし、その後、ミサイル技術を利用した「ロケット」を2度にわたって発射し、そして今回の3度目の核実験です。こういう経過を見ますと、対話は繰り返され、合意は結ばれているわけですが、それを何度も裏切っているという経過があります。
こういう経過を考えれば、対話という場合、今度こそ、北朝鮮に核兵器と核開発を放棄させるための実効ある措置を決める対話が必要になってくると思います。中国を含む国際社会が一致して制裁を実効あるものとする――制裁の強化は必要ですが、その目的は、あくまでも核兵器を放棄させるための真剣な対話の場をつくるということに置かれなければなりません。これがいま一番力を傾注しなければならない問題だということを強調したいのです。
「核兵器のない世界」にむけた具体的行動をすすめることの重要性
志位 同時に、もう一つ、私が、この問題を解決するうえで大事だと考えているのは、北朝鮮は何度か核実験をやることによって「核保有国」であることの既成事実化をはかろうとしているわけです。そして、その最大の理論づけは「核兵器は抑止力」だということです。「核抑止力」論です。これで核兵器保有をいわば「居直って」いるわけです。
もちろん、これは絶対に許されない態度です。私たちは、どんな国であれ、新しい核保有国になるのは反対ですから、絶対に許されないという立場ですが、ここで考えなければならないのは、国際社会が本気になって「核兵器のない世界」に向かっていくための具体的な行動に出ることが必要になっているということです。
具体的には、いま国連総会で圧倒的多数が賛成して可決されているNWC(核兵器禁止条約)の交渉を開始するということで、本気になって世界が核兵器廃絶の方向に向かうことが大切です。国際社会が「われわれはもう核を捨てる。だからあなたも捨てなさい」ということが、一番強い立場に北朝鮮に対して立つことができるのです。
新しい危険な局面――二つの努力が必要
志位 いまこの北朝鮮問題は、新しい危険な局面に入ってきたと思います。緊張がこれまでになく高まるという状況になり、このまま放置できない状況にきている。
そのもとで、国際社会は、二つの態度が大切だと思うんですね。一つは、先ほどいったように北朝鮮を真剣な対話のテーブルにつかせて、核兵器を放棄させるという努力。もう一つは「核兵器のない世界」をつくる、そういう大きな運動をつくりながら北朝鮮に核兵器の放棄をせまっていく努力。この両面で、国際社会がいま行動する必要があるという大事な局面に来ていると私は思います。