2013年2月20日(水)
論戦ハイライト
TPP不参加しかない
参院予算委 紙議員が迫る
19日の参院予算委員会で環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題についてただした日本共産党の紙智子議員。自民党が総選挙で掲げた公約を守るというのなら、「TPP交渉不参加」という選択肢しかないことが浮き彫りになりました。
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紙議員 「総選挙公約守るのか」
首相 「6項目念頭に日米会談」
自民党は総選挙で「国民皆保険制度を守る」などの「6項目」(1面別項)を公約。しかし、政府が衆院に提出した「統一見解」には「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」とした1項目しか記していません。
「6項目がセット」
紙 公約では六つがセットだ。国民は公約が違ったのかと思う。
安倍晋三首相 「聖域なき関税撤廃」以外の残りの5項目も踏まえて(交渉参加を)判断していく考えだ。
紙氏は、林芳正農水相に対しても1項目しか守らないというのかと追及。林氏は「政権公約だから、(6項目に)反することが明白な場合は、交渉参加は難しい」と答えました。
「食の安全も守る」
紙氏は、自民党の政権公約について具体的にただしました。
公約に「食の安全安心の基準を守る」とあることについて、残留農薬や食品添加物の使用規制などが、米国から貿易の障害になるとして「非関税障壁」とされかねないと指摘しました。
安倍首相は「個別のことは交渉されていないが、食の安全基準も含まれる」と答えました。紙氏が米国産牛肉の検査月齢を20カ月から30カ月に緩和していることをあげ、食の安全を脅かすと指摘すると、安倍首相は「守るべきものがある。そうなったらしっかり主張していく」と述べました。
命に関わる重大事
さらに紙氏は、自民党が公約で「国民皆保険制度を守る」としていることに関し、日本医師会が混合診療の全面解禁を行わない、株式会社を医療に参入させないなどを求めていることをあげ、公的医療保険制度を守れるのかとただしました。
安倍首相は「皆保険制度をゆるがす考えは毛頭ない」と答弁。紙氏は「政府の『規制改革会議』では混合診療拡大を打ち出し、地ならしではないか」と指摘しました。
紙 「非関税障壁の撤廃」は国民の健康や命に関わる重大問題だ。生活のあらゆるところに影響を与え、日本の主権にも関わる問題だ。
首相 国民の皆保険を守っていくのは、主権の問題というのはまさにそのとおり。食の安心・安全を守っていくのも当然のことだ。「6項目」をしっかりと念頭において(日米)首脳会談に臨まなければならない。
紙議員 「全重要品目“聖域”か」
首相 「関税撤廃なのかどうか確認」
さらに紙氏は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対する」とする公約についても大きな問題があると追及。現在、高率の関税がかけられている品目を列記したパネル(グラフ)を掲げ、「『聖域』の範囲は重要品目すべてを対象にしているのか」とただしました。
紙 重要品目はこれだけある。どこまで対象にするのか。
首相 個別項目については、影響を勘案して判断していく。
2011年11月の衆院予算委員会で林芳正議員(現農水相)は「(例外措置は)何年でゼロにするかという例外はあっても、関税が残るという例外はないのだ」と野田佳彦首相(当時)を追及し、例外を認めさせても5〜10年で関税ゼロとなると確認していました。
紙 (例外措置について)質問をした認識は変わらないのか。
林農水相 当時は野党議員として質問した。
紙 変わってないということか。
農水相 とくに変わってない。
紙氏の追及に林農水相は変わってないと認め、さらに「さきほどの6項目を政調会長代理としてとりまとめた」と述べました。
紙 総理、やはりTPP交渉に参加しないという選択肢しかないではないか。
首相 関税撤廃なのかどうか確かめてみないとわからない。
紙氏は、ニュージーランドは、例外を認めるよう求めている日本のTPP交渉参加を認めていないことに言及。「日本の主権を損なうものだから国民は不安に思っている。自民党が示した6項目をみたすなら、そもそもTPP参加自体が成り立たない」と強調しました。
紙 守らないなら重大な公約違反であり、国民は許さないだろう。日米首脳会談で、よもやTPP参加表明はないと約束できるか。
首相 基本は「聖域なき関税撤廃」を確認する。そのうえで、これまでの交渉経過とわが国へどのような影響があるか精査し、分析する。
紙氏は、すでに北海道では1年間に200戸の農家が離農しており、TPP参加は東日本大震災被災地で復興に励む農林漁業者の意欲をそぐと批判。「美しい風景や棚田を支える農家を本当に守れる政治に変えなければならない」とTPP不参加を求めました。
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