2013年2月24日(日)
東電と森田千葉知事 深い仲
20万円の講演料 ラジオ番組出演
森田健作千葉県知事(63)が、福島第1原発事故を起こした東京電力と深い関係にあることが23日、本紙の取材で明らかになりました。森田氏は知事に就任する前年の2008年に、東京電力から講演料として20万円の政治資金を受けていたほか、東京電力提供のラジオ番組にレギュラー出演していました。福島原発事故で千葉県も深刻な放射能被害を受けていますが、森田知事は原発ゼロを求める県民の声に背を向けています。
同氏の資金管理団体「森田健作政経懇話会」の08年分の政治資金収支報告書によると、10月2日に「東京電力大井品川火力発電所」から20万円、千葉県から補助を受けている私立幼稚園(船橋市)から10万円など計1000万円余の講演料収入を受けていました。
本紙は森田氏に対し、(1)講演内容(2)東電や私立幼稚園から受けた講演料を返還する考えはないのか―など4項目の質問状を送付しましたが、森田氏は回答を拒否しました。
本紙は東電に対し、(1)講演会開催と講師料支出の事実関係(2)政治家を招いた講演会の開催実績と講師料―などについて質問状を送付。東電広報部は22日、「森田氏の収支報告書の内容については、当社としてお答えする立場にない」「テーマに合わせて有識者などに講演を依頼することはあるが、私契約に関することであり、相手先もある」と説明を拒否しました。
森田氏がレギュラーパーソナリティーを務めていた、ニッポン放送「森田健作の我らニッポン人」は06年4月8日に放送を開始(09年1月〜4月、11年3月の原発事故直後は一時休止)、原発事故の半年後の11年9月26日に番組を打ち切りました。同番組のスポンサーは東京電力1社だけでした。森田氏が講演したのは同番組に出演していた時期で、東電から受けた講演謝礼を個人の所得とせず、政治団体の収入として処理していました。
解説
原発ゼロ拒否の背景か
森田知事は、原発事故による放射能汚染に不安を募らせ、徹底した除染と原発ゼロを求める県民の世論が高まっているにもかかわらず、「原発をすぐになくすことは事実上困難」(11年9月)、「直ちに原発をなくすことは現実的でない」(12年9月)と県議会で答弁してきました。
また、石原慎太郎前東京都知事が「(原発を千葉県の)鋸山の頂点にでも造ったらいい」(12年)と暴言を吐いたときにも、森田知事は発言の撤回すら求めませんでした。それどころか、「都知事は極端な例として鋸山をあげたものと認識しており、ことさら言いたてることは考えていない」(12年6月議会)とかばいました。
こうした森田知事の原発容認姿勢の背景に、東京電力との癒着関係があることは否定できません。
千葉県知事選(28日告示、3月17日投票)で三輪定宣候補=無所属、日本共産党推薦=を推す「憲法がいきる明るい千葉県をつくる会」は、「森田知事は金権疑惑にふたをしたままだ」として、逃げ回る森田氏を厳しく追及しています。
松本悟・千葉労連議長は、「私たちは原発の再稼働をやめさせてほしいと千葉県に再三申し入れたのに、森田知事は背を向けたままです。森田知事が、東京電力をはじめ『原発利益共同体』の一員だったことに強い怒りを覚えます。知事の資格が問われる」と語りました。
(岡部裕三)