2013年3月1日(金)
“安倍相場” 閣僚に恩恵
10氏の株資産 7200万円増
安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」への期待感などで株高傾向が続いていますが、株を保有している安倍内閣の閣僚自身が7200万円以上の資産を上積みするなど、この安倍相場の“恩恵”を受けていることが本紙の調べでわかりました。
2月15日に公開された閣僚の資産公開によると、安倍首相と閣僚の計19人のうち、本人か家族が株式を保有しているのは半数を超える11人(表参照)にのぼります。
資産公開では、保有する銘柄と株数を記載しているだけで、不動産、定期預金などの総資産額には反映されていません。
本紙は、地元のゴルフ場の株を7100株保有する山本一太沖縄北方担当相を除き、東証1部、ジャスダックなどに上場している株式を保有する10氏について、野田佳彦前首相が衆院解散に言及した昨年11月14日と、資産公開した今年2月15日の約3カ月間の株価の変動を調べました。
これによると、首相と9閣僚の時価総額(2月15日)は、3億5600万円余で、3カ月で約7266万円の資産を上積みしています。
たとえば、首相は、昭恵夫人の父親が元社長の森永製菓の株を4万9000株保有していますが、1株175円から191円になり、78万4000円の資産を増やしたことになります。
九州電力など上場株を7銘柄、計約13万株を保有している麻生太郎副総理・財務相も、ブリヂストン株が1754円から2485円に上昇するなど、約1660万円も資産を上積みしています。
谷垣禎一法相は、関西電力、新日鉄住金、日立製作所など12銘柄の約4万8000株を保有。約1000万円の資産を増やしています。
稲田朋美行政改革担当相は本人の保有はないものの、夫が銀行、商社、ゼネコン、家電、化学など41銘柄の約22万株を保有。時価総額は2月15日時点で約1億8600万円にのぼっています。労働者の首切りをすすめるシャープが163円から315円と、ほぼ2倍に急騰するなど、4000万円以上の資産を上積みしています。
安倍首相は、「政策を発表しただけで株は上がり、円が下がった」と自画自賛しています。庶民に消費税増税などを押しつけながら、株高の“恩恵”を得ていることに疑問と批判の声が上がるのは必至です。
■安倍内閣の首相と閣僚の株保有状況
安倍晋三首相 森永製菓など5銘柄 5万8060株
麻生太郎副総理・財務相 ブリヂストンなど16銘柄36万0398株
新藤義孝総務相 NTT100株
谷垣禎一法相 新日鉄住金など12銘柄 4万8110株
田村憲久厚生労働相 三井住友FGなど3銘柄43万2300株
林芳正農林水産相 三井物産など4銘柄12万9668株
茂木敏充経済産業相 アイセイ薬局など5銘柄 2167株
石原伸晃環境・原子力防災相 NTTなど2銘柄 103株
山本一太沖縄・北方相 白根草津パークランド7100株
甘利明経済再生相 オリエンタルランドなど4銘柄2447株
稲田朋美行政改革相 シャープなど41銘柄22万1935株
《注》家族分ふくむ