2013年3月2日(土)
TPP「全公約守れ」
首相にJA萬歳会長
「交渉参加反対」申し入れ
全国農業協同組合中央会(JA全中)の萬歳(ばんざい)章会長は1日、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に関し安倍晋三首相と自民党の石破茂幹事長、公明党の山口那津男代表と会談しました。萬歳会長は「(日米共同声明で)聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったとは理解していない。自民党の政権公約すべてをクリアしなければダメだというのが全国のJAグループの声だ」と述べ、JAグループとして交渉参加に強く反対することを申し入れました。
申し入れは、2月28日に開いた理事会で確認された「考え方」に基づいて行われたもの。萬歳会長は「考え方」を文書で手渡し、「十分な議論、情報提供をしながら、国益に沿ったなかでやるべきだ。今のような段階で参加には反対だ」と語りました。
「考え方」では、日米共同声明について「『聖域なき関税撤廃』を前提にしたものとしか理解できない。重要品目の除外が担保されていない」と指摘。「聖域なき関税撤廃が前提ではない」という認識に立つのなら、米、麦、牛肉など「重要品目の除外を必ず実現しなければならない」と強調しています。
さらに「TPP交渉は、農業問題だけではなく、ISD(投資家対国家の紛争解決)、食の安全・安心、医療、保険など、国のかたちを変える重要な内容を含むもの」だと指摘。「政権公約としての6項目すべてが順守されない限り、国民の信頼を得ることにはならない」と主張しています。
申し入れに対し安倍首相は、政権公約にたがわないように対応すると表明。石破幹事長は「確約できなければダメだということは交渉の本質に反する。国益を守るのは当たり前のこと」、山口代表は「国益の最大化を目指して国民的合意をつくる」と述べました。
自民党のTPPに関する6項目の公約 自民党が2012年の総選挙で掲げたTPP(環太平洋連携協定)交渉に関わる公約。(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない(3)国民皆保険制度を守る(4)食の安全安心の基準を守る(5)国の主権を損なうようなISD(投資家対国家紛争)条項は合意しない(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる―の6項目。