2013年3月12日(火)
環境 熱い話題 中国全人代
北京の空気は国家イメージ
汚染対策に財政投入を表明
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【北京=小林拓也】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催中の北京では9日、強い風が吹き、砂ぼこりが市内を覆い、大気汚染指数が最悪の6級を記録しました。今年1月から深刻な大気汚染が発生している中国。全人代では大気汚染などの環境問題が熱い話題になっています。
「北京の空気の質は国家イメージを代表している」。6日、全人代の北京市分科会で、自動車大手・北京汽車集団の徐和誼会長はこう発言しました。
徐会長は、交通問題は環境問題を生み出している要因の一つだと指摘し、「交通問題を解決する方法の一つが新エネルギー自動車の発展だ。とくに電気自動車だ」と強調。「政策だけでなく、消費者が小型化、軽量化、省エネルギーの自動車を買う方向にメディアを通じて導いていくことも必要だ」と提案しました。
北京市の楊暁超財政局長は同日、記者団に対し、2012年に北京市は100億元(約1500億円)以上を環境対策に投入し、うち5000万元で微小粒子状物質「PM2・5」の監視測定ネットワークを設立したと説明。今年は大気汚染や汚水処理などの対策にさらに財政を投入すると表明しました。
7日の北京市分科会で、李士祥副市長は大気汚染は北京だけでなく周辺の河北省も含め共同して対処する必要があると提案しました。同日、河北省環境保護庁の陳国鷹・共産党委員会書記は記者団に対し、河北省や北京など区域で連携して汚染を防いでいくメカニズムが必要だと指摘。「全人代終了後に北京や天津の環境部門を訪れ協議したい」と述べました。
全人代常務委員会法制工作委の信春鷹副主任は8日の記者会見で、環境問題がなぜ深刻なのかについて、経済の発展に伴い新しい問題が発生し法律が追いついていないと解説。また、「環境保護はコストがかかるため、企業が責任を回避しようとする傾向がある」と指摘しました。
7日に記者会見した万鋼・科学技術相は、環境保護対策として産業構造の調整が重要だとしたうえで、自動車の排ガスを減らすなど「われわれ一人一人が自ら(環境保護対策を)始める必要がある」と語りました。