2013年3月29日(金)
国交省の前事務次官 天下りの口利き「違法」
監視委が初の認定
塩川衆院議員が国会で疑惑追及
国土交通省の宿利正史(しゅくり・まさふみ)前事務次官が元幹部職員の天下りで口利きをおこなったとして、政府の再就職等監視委員会(委員長・羽柴駿弁護士)が国家公務員法違反と認定していたことが28日までにわかりました。この問題は日本共産党の塩川鉄也衆院議員が、“玉突き”ОB人事という天下りあっせん疑惑を国会で追及、厳格な調査と、天下りそのものの禁止を求めていたものです。
監視委は、国家公務員の天下りを規制する政府の第三者機関。2007年の改正国会公務員法成立によって、設置され、12年3月の活動開始以来、違法認定は初めてです。
監視委によると、宿利前次官は国交審議官だった11年2月上旬ごろ、審議官室で同省所管の財団法人「海技振興センター」の理事長(元関東運輸局長)に対し、同センターの常務理事(元船員中央労働委員会事務局長)が「替わるらしいですね」とポストに空きができるかどうかを問い合わせました。さらに、同月中旬ごろ、「日本小型船舶検査機構」の業務担当理事(元大臣官房付)が仕事を探していることを伝え、この業務担当理事は、同年4月、同センターの常務理事に就任しました。
これは、職員の天下りを目的とする営利企業などとの情報交換を禁じた国家公務員法第106条2項に違反しています。
同センターの常務理事だったОBは、同年6月、「日本冷蔵倉庫協会」の理事長に就任しました。塩川議員によると、一連の人事は、同年2月2日、国交省の九州運輸局次長が、日本小型船舶検査機構の業務担当理事に現役出向したことから始まる“玉突き”でした。(図参照)
また、監視委は、宿利氏が同年3月初めには、2回にわたって、社団法人「日本民営鉄道協会」の当時の理事長(元関東運輸局長)を審議官室に呼んで退任を促していたとし、これも国家公務員法違反と認定しました。
約3カ月後の同年5月26日、「日本自動車販売協会連合会」の常務理事を退任した元運輸安全政策審議官が、翌27日、日本民営鉄道協会の理事長に就任しています。
塩川議員は、これら宿利氏の口利き関与を再三、国会で追及。枝野幸男官房長官(当時)は「国交省の政務三役でしっかり調査させたい」と答弁しましたが、同省は同年8月、「再就職あっせん行為はあったとは認められない」とする調査結果を公表していました。
今回、監視委は、「今回のような事案の発生は公務に対する国民の信頼を大きく揺るがす」との委員長談話を発表。太田昭宏国交相に対し、職員や元職員に口利き禁止の周知徹底を図るよう求めました。
|
天下り禁止を
日本共産党の塩川鉄也衆院議員の話 違法行為を否認した国交省の身内の調査委員会による、お手盛りの調査結果を、第三者機関である再就職等監視委員会が正したのは当然だが、それは、私が国会で追及した一連の天下りあっせん疑惑の一部にすぎない。国交省は、真摯(しんし)に反省して、改めて調査を行うべきだ。政官業の癒着を根絶するためには、あっせん行為ではなく、天下りそのものを禁止すべきだ。
|