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2013年4月14日(日)

TPP事前協議 日米発表から見えてくるもの

一方的譲歩重ねた日本

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 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に関する日米事前協議が12日、合意に達しました。日米による合意の発表ぶりを比べると、一方的譲歩を強いられた日本の姿が浮かび上がります。

 文書での合意は、駐米日本大使と米通商代表代行の往復書簡と「自動車貿易TOR(委任事項)」という添付文書です。これらは日米で同じ表現です。違いが見られるのは、日米政府がそれぞれ出した発表文です。

 米通商代表部(USTR)の発表文は、日本が二つの一方的措置を発表したことを特記しました。一つは、輸入車の認証手続きを簡素化する「輸入自動車特別取扱制度」(PHP)で年間販売台数の上限を拡大すること。もう一つは、日本郵政グループのかんぽ生命保険の新商品展開を凍結することです。ともに、米国が事前協議で重視した分野です。

 一方、内閣官房TPP政府対策本部の発表文は、これに全く言及しませんでした。一方的措置として発表されたものの、米国側は事前協議の「成果」に数え入れました。

 日本側の発表文は、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった2国間貿易上の重要品目が両国にある」という認識を明記しました。2月の日米共同声明が言明し、往復書簡も再確認したことを繰り返したものです。

 しかし、米国側の発表文は、これを無視しました。米国側の重要品目である工業製品では、日本側が大幅譲歩を強いられ、日本側の重要品目である農産品では、米国側の配慮がなかったのです。

 米国側が重視する自動車については、「自動車貿易TOR」が作成され、今後の2国間交渉の課題や方法が取り決められました。他方、日本側の重要品目である農産品については、何もありませんでした。

 米国の自動車関税の撤廃には、米韓自由貿易協定(FTA)を上回る可能な限りの長時間をかけることは、日米の発表文がともに確認しました。

 これらから見えてくるのは、事前交渉で一方的に譲歩を重ねた日本の姿です。同時に、自動車分野を守るという米国の強い姿勢と、農業分野を守る手掛かりすらない日本の立場です。

 (北川俊文)


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