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2013年4月17日(水)

続発していた シート破損

福島原発貯水槽と同会社

東電 「一番能力ある」と評価

放射能汚染水漏れ問題

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 東京電力福島第1原発の地下貯水槽三つから高濃度の放射能汚染水が漏れた問題で、貯水槽を建設した中堅ゼネコン、前田建設工業(東京都千代田区)が過去に手がけた産業廃棄物処分場で貯水槽に使われたのと同様の水漏れ防止シートが破損するなどのトラブルが続発しています。


 「私たちを苦しめる欠陥品と同じものを福島第1でつくるとは、ずさん極まりない」

 山梨県北杜(ほくと)市に住む男性(71)は、福島第1原発での汚染水漏れに、特別な憤りを感じています。

 男性はこれまで、自宅から約2キロ離れた市内の産廃処分場「県環境整備センター」(明野処分場)のトラブルを告発してきました。周辺住民でつくる「明野廃棄物最終処分場問題対策協議会」の代表です。

 明野処分場は前田建設工業を中心とする共同企業体が建設し2009年5月に操業開始しましたが、漏水検知システムが異常値を示して操業停止中です。

 処分場の底面は水漏れ防止のために厚さ1・5ミリの合成樹脂のシート2枚と、粘土質の層を重ねた3層構造です。

 この構造は福島第1原発の地下貯水槽と基本的に同じ。東電が明野処分場などの工法を転用して貯水槽をつくったためです。

 東電は事故後も、貯水槽をつくった前田建設工業を「日本でいちばん能力も経験もある会社」(原子力・立地本部の山下和彦福島第1対策担当、12日の原子力規制委員会の専門家会合)と天まで持ち上げます。

 「実績の中身を見れば、前田建設工業に能力がないことは証明ずみだ」と冒頭の男性。

 明野処分場は09年の操業から半年間で、シートのはがれなど51カ所を補修。施工ミスでシートの間に水が入り、8カ所で水を抜きました。

 10年1月にはシートの1枚目が50センチ四方で破れました。漏水検知システムは同年10月、12年12月の2度にわたって異常値を示しています。

 前田建設工業は明野処分場でのトラブルを抱えながら、12年4月から13年1月にかけて福島第1原発の地下貯水槽7基の建設を手がけたことになります。

 地下貯水槽を建設中の12年11月には、処分場を運営する県の事業団が前田建設工業など4社を提訴し計3億8262万円の損害賠償を要求。4社のうち1社が重機でシートを傷つけ、前田建設工業など3社が不完全な漏水検知システムを導入したとしています。

 シート破損の危険性は、前田建設工業自身が90年代から訴えてきたことです。

 同社の技術者は「実際には様々な理由でシートは破れる」(新井斉氏、『ジオテキスタイル技術情報』93年12月号)と漏水検知の必要性を主張。同社はシート破損を前提に漏水検知システムを開発しました。

 その後、現在にいたるまでシート破損事故は全国各地で起きています。(本紙16日付)

 シートは破れると知りながら、なぜ使ったのか。同社の岩坂照之広報グループ長は本紙の取材に、「貯水槽に関する質問は、調査中だから答えない。調査中でないものも、どう報じられるか分からないのでノーコメント。これは他社にも同じ対応をしている」とし、原因究明に背を向けています。


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