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2013年4月21日(日)

日本、TPP交渉参加

11カ国同意 譲歩重ね高い「入場料」

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 カナダのファスト国際貿易相兼アジア太平洋ゲートウエー担当相は20日、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加についての両国の事前協議が「成功裏に」終了したとする声明を発表しました。これにより、TPP交渉に参加している11カ国すべての政府が日本の交渉参加に同意する意向を示しました。

 これを受けて、米国などTPP交渉を進めている11カ国は同日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合が開かれているインドネシアのスラバヤで閣僚級会合を開き、日本の交渉参加を全会一致で正式に承認する共同声明を発表しました。

 スラバヤで行われたTPP交渉参加国との協議では、カナダが、日本車の輸入関税撤廃の時期を先送りした日米事前協議の合意などを念頭に日本の譲歩を迫り、事務レベルの折衝が続いていました。それが大筋で合意に至ったものです。同地からの報道によると、ファスト国際貿易相は同日、「日本には高い目標を掲げて、重要な貢献をしてもらいたい」と述べました。

 米国は、11カ国の同意を確認した上で、日本の交渉参加を議会に通知するとしており、その後90日間の審議を経て、米国の正式の同意が決まります。

 TPP交渉は、次回の17回会合が5月15〜24日、ペルーのリマで開かれます。9月にも交渉会合が予定されています。新たに7月にも会合を開く案も出ており、それが実現すれば、日本政府は7月の会合から参加したい意向です。


解説

「守るべきものは守る」保証なし

 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の「入場料」は次々と拡大しつつあります。交渉に参加しても「守るべきもの」を守れる保証さえありません。今からでも、交渉参加をきっぱり断念すべきです。

 12日に決着した米国との事前協議で、日本は、牛肉、自動車、保険の3分野で米国の当面の要求に応じただけでなく、米国が非関税障壁と見なす日本の規制について新たな2国間交渉を開始することで合意しました。

 今回、カナダの承認を得るにも、同国の自動車輸入関税の撤廃に米国に約束したのと同じ猶予を認めるよう求められていると伝えられます。交渉参加の承認の見返りに、米国に大幅に譲歩した以上、他の国からの要求にも応じざるを得ません。

 譲歩を重ねて交渉に参加しても、後から参加する日本は、先に交渉している諸国がすでに合意した事項の再交渉を求めることはできません。丸のみに認めなければなりません。それらの諸国が交渉を打ち切るときは、それを拒否することはできません。

 各国は日本に対し、「TPPの輪郭」で確認された「包括的で高い水準の協定」を認めるよう求めています。「TPPの輪郭」は、「関税ならびに物品・サービスの貿易および投資に対するその他の障壁を撤廃する」と明記しています。TPP交渉は、すべての品目を関税撤廃の交渉対象とするのが原則です。例外品目を設けることに強固に反対している国もあります。「守るべきものは守る」という日本の言い分が通る保証はありません。

 (北川俊文)

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