2013年5月10日(金)
日本を売り渡すTPP交渉参加の撤回を
共産党が見解を発表
志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は9日に国会内で記者会見し、「TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加は日本をアメリカに丸ごと売り渡すことになる――安倍内閣に交渉参加の撤回を強く求めます」と題した見解を発表しました。紙智子党農林・漁民局長(参院議員)が同席しました。
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志位氏は、安倍内閣が交渉参加に暴走する一連の過程のなかで明りょうになった二つの点―(1)TPPがすべての関税・非関税障壁の撤廃という世界でも類例のない危険な枠組みになっている(2)米国のいうままに譲歩を重ね日本を丸ごと売り渡すという安倍内閣の「亡国」的姿勢―を指摘。「暴走を阻止し、交渉参加の撤回を強く求めてたたかいたい」と表明しました。
このなかで、対米事前協議「合意」で明らかになったこととして、(1)重要農産物で「聖域」確保の可能性がほとんどない(2)交渉参加の条件とされた「入場料」(牛肉、自動車、保険の米側要求)をまるのみした(3)非関税措置の日米2国間交渉をTPP交渉とセットでまとめる―三つの問題点に言及しました。「身ぐるみをはがされる屈辱的交渉となります。『守るものを守る』『交渉をリードする』ことはありえない」と述べました。
さらに、“アジアの活力を取り込む”といいながら主要国の多くが参加せず、アメリカの戦略に取り込まれるだけだと強調。経済主権が侵害されるISD条項(企業と国家の紛争処理条項)の導入が強く迫られていることや、交渉内容は国民・国会議員にも秘匿されることなども示して、“多国籍企業に都合のいいアメリカ主導のルールづくり”であって、国益を守るというならTPPから撤退する以外にないことを浮き彫りにしました。
志位氏は「全国で自民党の公約違反に対する怒りが吹き荒れる状況が起こっています。今度の参院選で怒りの審判を下す必要があり、わが党は交渉参加撤回を強く求めていきたい」と表明しました。
そのうえで志位氏は日本の大企業・財界のあり方について言及し、「内需を犠牲にして、もっぱら外需で稼ぎ、生産拠点を海外に移し、多国籍企業化する状況がすすみ、いまや経団連など財界は日本経済に責任を負わなくなっています。TPPが最たるものです」と指摘しました。
財界・大企業が日本経済への責任を放棄する一方、政府に補助金や減税をたかるという「腐朽(ふきゅう)の状況」が生まれていると厳しく指摘。「そうしたものにつき従う政治でいいのでしょうか。日本共産党は、あらゆる問題で日本国民に責任を負う確固たる対案を対置して頑張りたい」と表明しました。
紙氏は「各地を回ると、政権についたら手のひら返しの(交渉)参加に大変な怒りが上がっています。阻止に向けて、広く呼びかけていきたい」と決意を表明しました。