2013年6月3日(月)
朝鮮情勢の好転期待
中国副総参謀長が表明
アジア安保会議
【シンガポール=面川誠】中国の戚建国副総参謀長は2日、シンガポールで開かれた第12回アジア安全保障会議(主催・英国際戦略研究所)で、朝鮮半島情勢が好転することに期待を表明しました。中国共産党機関紙・人民日報5月8日付が沖縄の領有権が中国にあることを示唆する論文を掲載したことについて、「政府の立場ではない」と述べました。
戚氏は「北朝鮮の政権は安定している。崩壊の兆しはまったくないと考える」と言明。中国を訪問した北朝鮮特使が6カ国協議に前向きな発言をしたことなどを念頭に、「朝鮮半島には現在、緊張緩和の機会が見える。事態を鎮静化させるために活用することが各国にとって有益だ」と強調しました。
沖縄の領有権について、「中国政府の立場は変わっていないので安心してほしい。(人民日報論文は)一学者の見解だ。学者の自由な研究であり、政府の見解ではない。釣魚(尖閣)と琉球(沖縄)は性格が異なる」と言明しました。
東シナ海の尖閣諸島と南シナ海の島しょについては、「中国に主権があることは明確」だとして、海軍活動の活発化について「領海を警備活動している」と主張しました。
南シナ海の島しょの領有権を中国と争うフィリピンが、中国の主張の正当性を問うために国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所に提訴したことについて、戚氏は「中国とフィリピンの間には対話が開かれており、国際機関に頼る必要はない」と述べました。
フィリピンのガズミン国防相は「わが国の排他的経済水域(EEZ)や大陸棚で中国が不法な行動を取らないようにするため」だとして提訴の正当性を強調しました。
ただ、「友好とパートナーシップに基づいて対処したい」(戚氏)、「中国との関係がより良いものになればいいと思う。2国間関係の発展は促進する」(ガズミン氏)とそれぞれ述べたように、双方とも関係全体の悪化は避ける姿勢を示しました。