2013年6月12日(水)
TPP “米企業有利に”要求次々
関税撤廃・食品添加物使用拡大
日本の交渉参加に意見公募
米国政府は9日(日本時間10日)、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に対する意見の公募を締め切りました。農業分野では、関税撤廃を求める要求が多く出されるとともに、遺伝子組み換え農産物や食品添加物の認証手続きの緩和、かんぽ生命や薬価制度の分野などでも、米国の多国籍企業に有利な扱いを求める意見が相次ぎました。
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日本に店舗を有する世界最大の米小売業者ウォルマートは、日本人顧客の主な食品となっている赤肉、カンキツ類、ワイン、乳製品とさまざまな加工食品には、高い関税がかかっていると非難し、関税の撤廃を要求。ウォルマートは日本がTPPに参加することで「日本におけるウォルマートの店にとってさらなる競争環境をつくり出すことになる」と強調し、同社にとって有利さを強調しました。
米穀物大手のカーギルは、米国の輸出の障害をつくり出している高関税、関税割り当て、行政価格、規制などがあると指摘。日本に対し「非関税障壁とともに、交渉の過程で、これらの障害を取り除く取り組みをしなければならない」と強調しています。さらに、貿易にかかわる規制の共通化が必要だと強調。とくにバイオテクノロジー(遺伝子組み換え)農産物や表示規制の共通化を求め、規制緩和を要求しました。
全国生乳生産者連盟と米国乳製品輸出協議会は連名で、チーズなどの乳製品の関税撤廃を要求。また日本の食品添加物の認証基準が他国と違って厳しいと指摘。認証手続きの緩和や日本では認められていない添加物の使用拡大も要求しました。
在日米国商工会議所は、日本の参加で、TPPが世界の国内総生産(GDP)の40%、世界貿易の3分の1を占めることになると歓迎しました。日本の参加によって、経済的には、米国がTPPから得られるGDP増加分が240億ドルから770億ドルへ3倍化すると指摘。また、戦略的には、2国間関係全般を強化し、米国の戦略的利益をより広範囲に手助けすると評価しました。
米保険協会は、非関税障壁に関して、TPP交渉と並行して行われる日米2国間の交渉を歓迎。2国間交渉の誓約がTPPと同様に拘束力を持つよう希望しました。
米国研究製薬工業協会は、日米経済調和対話(EHI)で協議している日本の薬価制度の「改革」などをTPPと並行して行われる他の交渉でも行うよう求めました。
サービス産業連盟は、日本郵政グループのかんぽ生命保険や共済が日本の保険市場をゆがめていると指摘。米国企業を含めた民間保険会社と同じ扱いにするよう求めました。