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2013年6月25日(火)

米の新たな核政策

「抑止力」を維持・強化

使用も辞さず/国際交渉に背

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 オバマ米政権はこのほど明らかにした核兵器をめぐる新たな政策で、ロシアとの間で一定数の核兵器削減を提案する一方、「核抑止力」を維持・強化し、それが働かない場合は核兵器の使用も辞さない立場を示しました。「核兵器のない世界」の実現を掲げながら、廃絶のための国際交渉に背を向ける同政権の姿勢が問われます。(ラスベガス=山崎伸治)


 オバマ大統領は19日、ドイツ・ベルリンで行った演説で「公正な平和とは核兵器のない世界だ」と主張。ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)に基づく同兵器の配備上限を1000発まで下げ、戦術核兵器の削減についても協議すると提案しました。

 ヘーゲル国防長官は同日、ネブラスカ州オマハでの演説で、オバマ氏の提案に触れた上で「三つのことは変わらない」と強調。(1)いつでも使える信頼できる「核抑止力」の維持(2)核攻撃の三本柱(爆撃機・大陸間弾道ミサイル・弾道ミサイル潜水艦)の保持(3)核兵器の安全性・有効性の確保―を挙げました。

 ホワイトハウスは同日、新たな「核兵器運用指針」を公表。核政策・態勢の主要な目的の一つに「(敵対者への)抑止が失敗する可能性に備える」ことを新たに加えました。北朝鮮・イランによる核開発が継続していることをにらみ、場合によっては核兵器の使用もあるとの立場を示しています。

 発表された一連の新政策は、「核兵器のない世界」を目標として掲げながらも、それを「はるかかなたの夢」(オバマ氏)だとして、実現までの間は核兵器をいつでも使えるようにするという立場を再確認しています。

 一方で、「核兵器禁止条約」の交渉開始など、国際社会が一致して進めている具体的な核廃絶への道筋には背を向けています。オバマ、ヘーゲル両氏の演説にもまったく言及がありません。現実的な廃絶への手だてを取らないままでは、「核兵器のない世界」の実現はますます遠のき、米国は保有する核兵器の維持・強化を続けるだけとなってしまいます。

 アメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんはオバマ政権の新政策について“言葉より行動”を見れば明らかだとして、「オバマ政権の5年間で、核戦争を準備し、その脅しを掛けることが米国の帝国主義的政策推進の中心であることに変わりない」と指摘。同政権が中東非核地帯設置に関する国際会議など、核廃絶に向けた多国間協議を拒否する姿勢を批判しています。


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