2013年6月29日(土)
沖縄・辺野古 埋め立て申請書
欠陥に欠陥を重ね
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沖縄県が28日に縦覧を開始した、米海兵隊の新基地建設に伴う同県名護市辺野古の公有水面埋め立て申請書。8000ページにおよぶこの文書は、欠陥の上に欠陥を重ねた、欠陥書類です。
第一に、埋め立て申請の大前提である「環境保全」の保証がありません。
辺野古の海はジュゴンなど希少生物の宝庫です。この海域の埋め立て自体、著しい環境破壊であることは明白です。沖縄県も「環境保全は不可能」との意見書を沖縄防衛局に提出してきましたが、政府は何ら手だてをとってきませんでした。
それだけではありません。沖縄防衛局が昨年、提出した環境影響評価書で、辺野古に計画されている新基地に垂直離着陸機MV22オスプレイが配備された場合、低周波騒音が環境基準値を超える地点があることが明記されました。政府自身、法令違反を認めた形ですが、この点について何も是正していません。
第二に、埋め立て申請そのものに欠陥があります。沖縄県は、埋め立て用土砂を購入した場合の有害物質の有無や、調達場所について申請書に明記するよう補正を要求しました。
しかし、告示された申請書では「県が埋め立てを承認した後に業者と契約を結ぶ」と明記。埋め立て承認を判断するための補正要請に対して、「承認したら明らかにする」という態度に出たのです。
また、埋め立て作業に必要な護岸などは名護市が所有しています。埋め立て対象の遊歩道などにも市有地があります。新基地建設に反対して座り込みを続ける「ヘリ基地反対協」の安次富(あしとみ)浩共同代表は、「市民の財産を勝手に埋め立て対象にするとは、どういうことか」と憤ります。
名護市は5月15日、「普天間代替基地建設を前提とした公有水面埋め立てには協力できない」として、護岸の使用などを拒否する見解を示しました。
新基地建設費用は埋め立てだけで2300億円。施設整備費用を含めれば数千億円に達します。すべて日本国民の税金です。
安次富氏は言います。「政府は辺野古の海を死の海にするために、ムダ金を使おうとしている。埋め立て申請への意見書提出を、多くの人に訴えたい」 (池田晋、竹下岳)
オスプレイ対策措置なし
桜井国俊沖縄大学教授(環境学)
埋め立て申請書では、環境基準に適合する岩ズリ・海砂を業者から購入するとしていますが、土砂のチェックを誰がどうやるのか、記述が一切ありません。第三者も納得できる体制にしなければ、事業者の沖縄防衛局任せになります。
最も重大なのは、オスプレイの問題です。申請書には、昨年12月に提出された環境影響評価(アセス)の補正評価書がそのまま添付されているだけで、この間、県当局自身が指摘してきた、日米合意の安全対策・騒音規制を全く無視した県内での飛行実態を踏まえていません。
辺野古の新基地に24機を常駐させるとしながら、騒音、低周波音、安全対策に対する具体的措置は何もなく、措置したとしても守られる保証はありません。
公有水面埋立法は、環境保全が不可能な申請については、許認可権者が却下すべきだと義務付けています。申請書の前提となるアセスで、沖縄防衛局は環境保全に関する県知事意見にまともに答えてきませんでした。知事は申請を却下すべきです。
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