2013年7月8日(月)
“原爆開発施設を歴史公園に”
米議会で法案審議
反核・平和組織は反対
「核兵器賛美につながる」
【ワシントン=山崎伸治】米議会で、第2次世界大戦中に原爆を開発した「マンハッタン計画」関連3施設を「国立歴史公園」とする法案が審議されています。原子爆弾の開発を“米国史上、最も大きな変化をもたらした出来事の一つ”と記念する公園の設置には、米国の反核運動が「核兵器の賛美につながる」と反対しています。
法案は、2001年に米大統領の諮問機関が「原爆の開発を20世紀の最も重大な出来事」と認定し、マンハッタン計画関連施設を歴史公園とするよう提言したと指摘。同計画について「国民の理解」を促すため、(1)テネシー州オークリッジ(2)ニューメキシコ州ロスアラモス(3)ワシントン州ハンフォード―にある関連施設を歴史公園とし、保全するとしています。法案の成立から1年以内に実施するとしています。
法案は3月に上下両院それぞれに提出。下院では4月に委員会で可決、本会議での審議を控えており、上院では議論が続いています。同趣旨の法案は前議会(第112議会)にも提出され、廃案となっています。
米国では「第2次世界大戦を終わらせた」として広島・長崎への原爆投下を“正当化”するのが政府の公式見解。ワシントン郊外のスミソニアン航空宇宙博物館別館には、広島に原爆を投下した米軍B29爆撃機「エノラ・ゲイ」が完全復元展示されていますが、被害については説明されていません。
今回の法案について、米国の反核・平和組織は反対を表明し、議会に対する働き掛けも呼び掛けています。
ワシントン首都圏で活動する「ヒロシマ・ナガサキ平和委員会」のジョン・スタインバックさんは法案について、「エノラ・ゲイと同様、核兵器による広島・長崎の破壊を正当化し、賛美するものになる」と批判。提案された3カ所は「放射線に今も汚染されている場所だ」として、「議会はむしろ、核兵器の死の遺産を思い起こさせる場所とすべきだ」と述べています。
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