2013年7月25日(木)
経団連会長・副会長企業の18社 外国人持ち株17% → 30%に 10年間
日本経済への責任放棄の一因
本紙調べ
経団連の現在の会長・副会長企業18社平均の外国人持ち株比率が、2003年3月の17・7%から13年3月に30・0%に高まっていることが本紙の調べで分かりました。10年間で約1・7倍の上昇です。
三井住友フィナンシャルグループは約4・5倍、丸紅は約3・7倍に上昇。トヨタ自動車はほぼ倍増しています。
経団連の会長・副会長は、経済・産業・労働などの分野に関して「政策を提言し、実現を働きかけること」(定款)などの事業を推進するための役割を担っています。経団連の要求は、歴代政権によって政策に次々反映されるなど、大きな影響力があります。
外国人持ち株比率は、企業が発行する株式のうち、外国企業や外国金融機関、外国籍の個人投資家などが保有する株式の比率のことです。外国大株主の力の強まりは、多国籍企業の利益をいっそう優先した要求につながっていきます。
ここ数年の日本企業の株式所有構造は、長く続いた企業間での株式の持ち合いによる相互依存体制から、外国人投資家が株式の多くを保有する資本の「多国籍化」に変化しました。大企業が株価を上げ、短期的にもうけを最大化する企業経営を行う背景には、こうした外国資本の高まりがあります。
これまでにも、短期的利益を拡大するため、人件費の大幅削減を可能とする労働者派遣法や裁量労働制など、労働法制の規制緩和が進められてきました。こうした規制緩和は、非正規雇用を拡大させ、国民の所得減少による日本経済の疲弊を招いています。
資本の「多国籍化」は、日本の財界・大企業が、日本経済に対する責任を放棄する一因にもなっています。
安倍晋三政権の経済政策である「アベノミクス」は、一握りの多国籍企業を支援する政策です。閣議決定した「成長戦略」は、「グローバル競争に勝ち抜く筋肉質の日本経済」を目指すことや「収益力を飛躍的に高め世界で勝ち抜く製造業」を目指すことをうたっています。「アベノミクス」は海外に軸足を移した日本経済のゆがみをいっそうひどくするものです。
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