2013年8月3日(土)
原爆症8人全員認定 大阪地裁
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国が原爆症認定の申請を却下したのは違法だとして、近畿在住の被爆者らが「却下取消」などを求めていた裁判の判決が2日、大阪地裁でありました。山田明裁判長は、訴訟中に亡くなった1人を含む原告8人全員の却下処分を取り消し、「原爆症の認定をすべき」だと国に命じました。
藤原精吾弁護団長は「大きな意義を持つ判決。厚生労働省はこれまで一定レベルの放射線に当たらない限り病気にはならないと主張してきた。判決はそれを否定した」と強調しました。2008年に導入された原爆症認定の「新しい審査の方針」(新基準)では、被ばく線量や入市期間で区切ることなどの問題点が指摘されていました。
判決は、8人の症状について「放射線の起因性が認められ…申請を却下する処分は違法」と明確に判断。新基準での被ばく線量の算定方法は「地理的範囲及び線量評価の両方において過小評価の疑いが強い」「あくまでも一応の目安とするにとどめるのが相当」として、「さまざまな形態での外部被ばく及び内部被ばくの可能性がないかどうかを十分に検討する必要がある」と断じています。
長崎で入市被爆した原告の宮永平八郎さん(78)は「今まであまりにも長く待たされたが、トンネルの向こうにやっと光明が見えた気がする。判決が全国の力になればと思う」と喜びを語りました。
訴訟中に原爆症に認定された1人を含む9人が求めた国家賠償は、新基準の制定や申請増加などを理由に「やむを得ない事情があった」と退けました。