「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年8月13日(火)

続・アベノミクス 儲けるのは誰

内部留保の一部を使い自社に株売り45億円益

光通信・重田氏の場合

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 通信回線やOA機器の販売などを手がける大企業「光通信」の場合、昨年11月16日時点で、創業者で現職会長である重田康光氏が、本人と家族、資産管理会社名義の株を合わせて、発行株式総数の5割を超える3123万株を保有していました。昨年11月14日に4215円だった同社の株価は、今年7月26日時点で6060円となり、重田家の保有株式時価総額は576億円も増えた計算です。

 もちろん、ただ保有しているだけなら「含み益」にすぎず、株価が下がれば減ってしまいますが、重田氏の場合は、保有株式の一部を手放すことによって利益を確定しています。一般的に、大株主が大量に株式を売れば、株価が下がり、残りの保有株の資産価値が目減りします。重田氏の場合は、市場内で売却するのではなく、自分が経営する光通信に自分の株を買い取らせることによって、株価を下げずに売るという、巧妙なやり方をしています。

 同社は、5月20日の取締役会で自社株の買い付け取引を行うことを決め、翌日に発表しました。その内容は、21日の終値5850円で自社株を購入するというもので、期間は22日の1日だけ。取引終了後に、同社は、119万6500株を約70億円で購入したと発表しました。この時点では、同社が誰から株式を買ったのかは、公表されていません。

 ところが、その後、28日に重田氏が金融庁に提出した報告書によれば、同社が購入した自社株のうち9割以上に相当する109万2300株が、重田氏の保有株式だったことが判明したのです。同氏の売却額は約64億円にものぼります。同氏の保有株式の取得原価は1株1765円と報告されているので、取得原価を引いた利益は約45億円ということになります。

 普通、企業が「自社株買い」をするには、資本剰余金などの内部留保を充てることになります。同社には3月末で258億円の資本剰余金がありましたから、重田氏の保有株式の購入には、この剰余金の一部が使われたのでしょう。財界は、内部留保を賃上げに活用することには否定的ですが、経営者自身のもうけを確保するためには、このように内部留保が活用されているのです。(日本共産党政策委員会 垣内亮)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって