2013年8月22日(木)
対外直接投資残高1兆ドル超
16年で4倍 税逃れの側面も
日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた「世界貿易投資報告」によると、日本から海外に行われた直接投資残高が12年に1兆405億ドルとなり、現在の形の統計が取られてから初めて1兆ドルを超えました。2587億ドルだった1996年からわずか16年で4倍に急増しました。
地域別にみるともっとも多いのが北米地域で28・9%を占めます。つづいてアジア地域で27・8%、3番目は欧州地域の24・3%でした。11年比でもっとも投資残高を増やしたのはアジアで12・1%増、欧州は9・5%増でした。ジェトロによると、08年以降非製造業(金融・保険業、卸売・小売業など)が製造業を上回っており、12年にはこの傾向がさらに拡大。アジアでは自動車など輸送機械での投資残高が増えました。
直接投資残高の推移を長期的にみると欧州と中南米での増加が目立ちます。96年に477億ドルだった欧州は12年には2529億ドルと5・3倍となりました。中南米は同じ期間に120億ドルから1192億ドルへと10倍近くに急増しました。
中南米への直接投資残高の半分以上は租税回避地のケイマン諸島です。欧州の場合はオランダが最も多く、12年は欧州への直接投資残高のうち37・3%を占めています。
オランダの税制には、多国籍企業内の取引において現地子会社を使うことで、配当利子や所得にかかる税への優遇措置を受け取ることができます。こうした制度を利用した税逃れをするために、多国籍企業がオランダに多額の直接投資を行ってきたとみられます。
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