2013年8月24日(土)
政府は自由貿易転換を
コロンビア農民ら全国スト
労働者・学生も連帯
南米コロンビアで自由貿易協定を次々締結し、中小農家を経営難に陥れてきた政府に抗議し、価格保障や融資制度などを要求する農民らの無期限の「全国農業スト」が19日から始まりました。農民らは21日までに19本の幹線道路を断続的に封鎖。首都ボゴタへの物資の輸送が滞る事態となっています。
価格保障を求め
現地からの報道によると、20日には、労働者、学生、市民らも全国約30カ所でデモを行い、農民に連帯するとともに、新自由主義政策からの転換を政府に迫りました。
ボゴタでは、数千人が市内各所から中心部のボリバル広場まで行進。近郊の農村から駆けつけた農民たちに加え、公的医療の予算増と待遇改善を求める医療労働者、高騰する燃料の価格引き下げを主張するトラック運転手、勉学条件の向上を訴える学生など幅広い市民が参加しました。
コロンビアは近年、米国、カナダなどと相次いで自由貿易協定を締結。欧州連合(EU)との協定も8月初めに発効しました。協定による農産物の輸入自由化の影響で、コメ、牛乳、ジャガイモなどの生産農家が打撃を受けているといわれます。
協定離脱が必要
抗議行動を呼び掛けた農民団体の一つ、「農業対話全国会議」のディアス代表は、ボゴタの集会で、「われわれは、大規模農業生産者や多国籍企業に、この国を任せるつもりはない」と発言。国民が必要とする食料を生産するためにも、抜本的な土地改革と自由貿易協定からの離脱が必要だと強調しました。
デモに参加した男子学生(18)は外国メディアに対して、「(多様な要求を掲げる)みんなが一緒に抗議すれば、政府は新自由主義政策に伴う損害を認識し、最終的には、自由貿易協定に苦しめられている農民の声を聞かざるをえなくなるだろう」と語っています。
農民団体らは、主要作物の安定を図る価格保障、肥料などの価格引き下げ、小規模農家への融資増額など最低限の要求が認められるまで、無期限で抗議行動を続ける構えです。(菅原啓)