2013年8月25日(日)
核兵器禁止
「交渉開始へ全力」確認
中南米諸国が国際会議
中南米諸国は20〜22日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで核軍縮をテーマとする国際会議を相次いで開催し、核兵器の使用を「人類に対する犯罪」と批判し、核兵器禁止を目指す交渉の開始に全力をあげる立場を確認しました。(菅原啓)
20日に行われたのは、中南米カリブ海諸国共同体(CELAC=加盟33カ国)の高官会議。採択された宣言は、核兵器の存在とその使用の可能性が「人類に対する脅威となっていることに深い憂慮」を表明し、「完全で検証可能な核軍縮の実現を最優先課題」と位置づけ、核兵器の使用と脅威に反対する「唯一の保障は核兵器の廃絶である」と強調しています。
宣言は、核兵器の使用や威嚇を「人類に対する犯罪であり、国際的人道法規や国連憲章を含む国際法違反である」と断罪。爆発を伴わない実験を含め、あらゆる核兵器実験・開発を拒否しています。核保有国に対して核不拡散条約(NPT)が定める義務を履行し、核兵器廃絶に進むことを要求しています。
さらに宣言は、「核兵器を禁止する法的拘束力のある国際的な手段を目指す交渉を開始する重要性」を確認しています。
CELACは2011年12月の設立会議で、核兵器廃絶に向け取るべき道を確認する国際会議の早期開催を呼び掛けていました。今回はこの呼び掛けを再確認するとともに、来年2月にメキシコで開かれる核兵器の人道的影響に関する第2回国際会議の重要性を改めて訴えています。
CELAC議長国キューバのベニテス大使は、宣言は核兵器全面禁止を目指す国際的な努力の先頭に立つ「CELACの共同と確信のレベルを強化するもの」と語っています。
21日からは中南米非核地帯条約(トラテロルコ条約)の常設機関・中南米カリブ海核兵器禁止機構(OPANAL)の総会が開かれ、CELAC声明の内容を盛り込んだ決議を採択。国連をはじめ核軍縮を扱う場で、核兵器廃絶実現のために同機構がより積極的に活動するとする方針を確認しました。
22日の閉会式には、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が出席。南大西洋を非核平和地帯とする展望を語るとともに、核兵器廃絶や世界平和の実現のために、大国が「責任ある指導性を発揮すべきだ」と指摘しました。
中南米非核地帯条約 1967年に締結された世界初の非核兵器地帯条約。調印の場となったメキシコ市内の地名をとってトラテロルコ条約とも呼ばれます。(1)核兵器の実験・使用・生産・取得(2)核兵器の受領・貯蔵・配備、および形態のいかんを問わず所有することを禁止。中南米地域内すべての33カ国が締約しています。常設の機関として中南米カリブ海核兵器禁止機構(OPANAL)があり、2年ごとに総会を開催。