2013年9月15日(日)
だからTPPに反対
シンポジウム 各氏の報告・発言から
14日に東京都内で開かれたシンポジウム「このまま進めて大丈夫なの? TPP交渉」の特別スピーチ、パネリストの冒頭発言、特別報告(いずれも要旨)を紹介します。
国民皆保険制度守ろう
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日本医師会は、競争原理を持ち込む新自由主義政策から日本の公的医療保険制度を守るたたかいをしてきました。新自由主義政策による医療の「規制制度改革」の流れの一環としてTPPがあります。
TPPは究極の規制緩和です。医療を営利産業化する動きがTPP交渉参加によって強まります。
保険証があれば一部窓口負担だけで必要な医療を受けられる日本の医療保険制度を守らなければなりません。保険範囲の縮小や混合診療の全面解禁、営利企業の医療機関経営参入を許さず、医療の営利産業化を防ぐためにたたかっていきます。
多様な農業維持できぬ
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TPPはアジア・太平洋地域の貿易交渉ですが、農業はきわめて多様です。地形、土壌条件、気候条件、人口分布、食生活に左右され、各国の農業には違いがあります。
TPPの目的は、高い基準の貿易ルールをつくることです。一つの基準にあてはめるやり方では、農業の多様性を維持するのは無理です。農業の多様性に着目しないとアジア・太平洋地域の公平で公正なルールはつくれないのです。
政府が工業製品の輸出を拡大するためのしわよせをすべて農業分野に持ってくるTPP交渉には、メリットがまったくありません。
暮らしいっそう不安に
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日本の将来を考えれば、こんなに不謹慎で慎重さにかける協定を認めていいはずはありません。
TPPの交渉対象は24分野にわたり、影響は広範囲です。消費生活をいっそう困難にさせ、暮らしをいっそう不安にさせます。
TPPは、農薬残留基準といった食品の安全規格、環境保護基準、製品安全基準などあらゆる規格・基準を対象にし、緩和・撤廃を促します。これまで消費者運動・市民運動などが勝ち取ってきたあらゆる制度導入の成果を台無しにする協定です。私たちが望まない方向に経済構造の転換を図るものです。
次世代に責任を果たす
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十勝は農業王国です。TPPに参加すると、試算では、(マイナス)5037億円の影響を受けます。
小麦、ビート(サトウ大根)、ジャガイモ、酪農、畜産が壊滅的な状況になります。雇用も4万人が消滅するといわれています。TPP参加は、十勝の地域、暮らしが崩壊するということなんです。
なぜ、TPPに入らないといけないのか。十勝の住民、北海道の住民は誰も頼んだことはありません。
次の世代にどう責任を果たすのか。私たちは、オール十勝で立ち上がっています。地域、未来を守るために頑張っていく覚悟です。
国民だましは許さない
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大変怒っています。
TPPは国民の99%が苦しむ。それなのに卑劣な手段で国民をだまして進めようとしています。
衆院選で「TPP断固反対」とウソをついた。農産物重要5品目の「聖域」を守るというのもウソ。「保険の独自性を守る」というのもウソ。ISD(投資家対国家紛争処理)条項に反対するのもウソ。全部ウソです。
どこまで身ぐるみをはがされるのかわからないのが現状です。このまま批准させるわけにはいきません。国を売りとばすこんな行為、政治を、われわれは何としても止めなければいけません。
国会の立法権への侵害
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多国籍企業の活動を最大限保障するための規制緩和・構造改革をすすめるのがTPPです。労働、消費者、環境のための経済活動への規制や、伝統文化、地方経済を守る政策など、あらゆる社会立法がTPPルールの制約を受けます。
TPPルールに違反した国会の法律、自治体の条例は改廃の義務が生じます。新しい法律・条例は、TPPに違反しない範囲内でしか締結できません。国会の立法権、自治体の条例制定権は侵害されます。
憲法の国民主権から多国籍企業主権へ変えるTPPをとめよう。
秘密交渉を打ち破ろう
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国際NGO(非政府組織)として交渉の現場に参加して、TPPは「米国政府・多国籍企業が牛耳るぼったくりバー」だということを実感しています。
TPP交渉の異常性の一つが秘密性です。とにかく交渉内容が明らかにされず日本政府が何を主張したのかも知らされません。秘密性をどう突き崩すかが大きな課題です。
日本にとって最悪なのは早期の妥結です。米国の早期妥結の提案に対し日本はどの国よりも従順に従うとしています。危機感がありません。TPP交渉を止めるため、力は小さくても無力ではありません。大きな声をあげましょう。