2013年9月20日(金)
山梨県議会の海外研修費
全額返還を命じる
東京高裁
山梨県議会海外研修費返還訴訟の判決が19日、東京高裁であり、貝阿彌(かいあみ)誠裁判長は住民側の訴えを全面的に認め、横内正明知事に対し、費用全額の返還を参加した県議に求めるよう命じました。
判決で裁判長は、アメリカ、エジプトなど四つの研修の全てについて「実質的には海外研修に名を借りた観光中心の私的旅行」と断定。「決して公の費用で行うべきものでなく、自費で行うべき」ものと指摘しました。
裁判は、任期中90万円(議員1人当たり)まで公費が支給される山梨県議会の海外研修制度について、山梨県の住民7人が「研修の実態は観光旅行同然だ」と主張し、その費用(11人分・約850万円)の返還を求めていたものです。一審の甲府地裁(3月19日)は、「私事旅行との疑惑を持たれてもやむを得ない」と指摘しながらも、「違法とまではいえない」として請求を棄却。住民側が控訴していました。
勝利判決を受け、甲府市内で開いた会見で原告代表の山本大志さん(税理士)は、「画期的な判決です。知事は上告せず、県議らもただちに費用の返還に応じるべきです」と述べました。
代理人の加藤啓二弁護士は、「研修の中身がいかにひどいものかを高裁が正しく判断した判決で、税金の無駄づかいを問うた住民訴訟が全面的に勝利するのは、全国的にも例をみないのではないか」と話し、他の原告らも「控訴して頑張ってよかった」「県民の良識が通じた」と喜びを語りました。
県議会で同制度の廃止を主張してきた日本共産党の小越智子県議は「県議会は、判決を県民の声だと真正面から受けとめ、襟を正すべきです」と話しました。