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2013年9月25日(水)

沖縄・辺野古新基地予定海域にジュゴンの食跡

防衛省、公表せず

アセスと整合なし

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 米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設先」とされる名護市辺野古沿岸海域で、国の天然記念物で絶滅の恐れの高いジュゴンの食(は)み跡を防衛省沖縄防衛局が確認していながら、公表していなかったことが分かりました。


図

 沖縄防衛局の2011年度発注の調査報告書によると、新基地建設予定区域内で、昨年4月に4本、5月に7本、6月に1本の計12本の食み跡が確認されました。

 沖縄防衛局が昨年末、県に提出した環境影響評価(アセスメント)書では「移設によるジュゴンへの影響は小さい」と結論付け、今年3月に埋め立て申請書を県に提出していました。

 今回の調査報告について防衛局は「公表を目的とはしていない」として情報を公表していませんでしたが、「影響は小さい」とした評価書との整合性が厳しく問われます。

 沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長(理学博士)は「2004年ごろの防衛省のボーリング調査で利用を避けていたジュゴンが再び辺野古沿岸域に戻ってきたことを示すものだ」と指摘。「ジュゴン生息の北限である沖縄本島最大の海草藻場は、そのままの状態で残すべきであり、防衛省は基地建設の結論ありきの姿勢を見直し、今回の調査結果を反映すべきだ」と批判しています。

生存に不可欠な海草藻場

沖縄大学(環境学) 桜井国俊教授

 沖縄防衛局の調査報告書で判明したジュゴンの食(は)み跡は、環境影響評価に伴うアセス調査で確認された3頭のうち、沖縄本島西海岸の古宇利(こうり)島周辺で確認された親子のうちの子どもによるものと断定して良いでしょう。

 若い個体が自立の方向で各地を遊泳し、辺野古沿岸域の海草藻場にたどり着いた事実を防衛局が裏付けたことになります。新基地建設予定地が、絶滅の危機に瀕(ひん)するジュゴンにとって自らの生存に不可欠な海草藻場であることを、身をもって証明したと言えるでしょう。

 この事実を公表しなかった防衛局には、ジュゴンを保護する自覚や姿勢はまったく見られず、「建設ありき」で論外と言わざるを得ません。おそらく仲井真弘多知事が今後出す埋め立て可否判断にとって不都合だと見たのでしょう。

 最も良好な海草藻場が広がる辺野古沿岸域を埋め立てれば、ジュゴンの未来世代の生存可能性を著しく消滅させ、国が絶滅に手を貸すことになります。

 (聞き手=沖縄県・星野淳)


 ジュゴン 南太平洋からインド洋の熱帯及び亜熱帯の浅海域に生息する海産哺乳類で、浅海の砂地で海草類を食べる草食動物。西太平洋における分布域において、沖縄県の周辺海域がジュゴン生息の北限にあたります。国の天然記念物で国内の個体数は50頭以下とされ、世界自然保護連合(IUCN)、環境省、沖縄県が絶滅危惧種に指定しています。


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