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2013年9月25日(水)

主張

復興特別法人税

増税でもないのになぜ廃止か

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 安倍晋三政権は、来年4月からの消費税増税のために追加的な経済対策を打ち出そうとしていますが、その目玉となっているのが大企業向けの減税です。消費税の増税を国民に押し付けるため、大企業に減税するというのは、まったくつじつまの合わない本末転倒の対策です。しかも、そのために東日本大震災の「復興特別法人税」を1年前倒しして来年度から廃止するというのは、被災者の気持ちを踏みにじっています。特別法人税は減税と抱き合わせで大企業に負担になっていません。所得税や住民税が増税された国民とくらべても、廃止は納得がいきません。

実質減税の法人税

 民主党政権時代に、自民党や公明党も賛成して決めた復興財源は、もともと復興にどれだけかかるかもわからないのにあらかじめ17兆円と枠組みを決め、所得税・住民税と法人税に負担を求めてきたものです。しかもそのさい、所得税は2013年度から25年間税額に2・1%を上乗せし、個人住民税は14年度から10年間均等割に1000円上乗せすると、文字通りの「増税」を決めたのに、法人税については国税と地方税を合わせた実効税率を引き下げたうえ、12年度から3年間に限って税額に10%上乗せするとしただけです。大幅減税と抱き合わせで実際には負担は増えるどころか減っています。

 東京23区内に本社を置く大企業の場合、それまで40・69%だった実効税率が35・64%に引き下げられており、それに復興特別法人税を上積みしても実効税率は38・01%にしかなりませんでした。「復興増税」とは名ばかりで、実際には増税になっていない特別税を率先して廃止するなどというのは、まったく大企業の負担軽減しか念頭にない不当なものです。

 本来、未曽有の震災に対応するというなら、復興に必要な財源は財政や税制の既存の枠組みを前提にするのではなく大胆に見直し、確保するのが当然です。日本共産党は大企業・大資産家への減税バラマキと歳出の浪費にメスを入れるよう求めて庶民増税に反対しました。ところがそうした声にはまったく耳を貸さず庶民には増税を押し付け、大企業向けにはわずかな上積みだけで、それさえ率先して廃止するというのは言語道断というほかありません。

 しかもその口実が、来年4月からの消費税増税を実行するためというのは、二重三重に国民をばかにした話です。税金分は売値に転嫁できる消費税は力の強い大企業にとって負担になっておらず、輸出に回した分は税額の還付が受けられるなどの仕組みで、逆に大企業のふところを潤しています。消費税の増税で打撃を受ける多くの庶民や中小業者を尻目に、大企業の減税を強行するというのは、文字通り国民無視のきわみです。

実効税率さらに引き下げ

 見過ごせないのは、安倍政権が大企業に対し来年度から特別法人税を1年前倒しで廃止するだけでなく、再来年度からは法人税の実効税率をさらに引き下げようとしていることです。大盤振る舞いそのものです。大企業の税負担を軽くし、大企業のもうけを増やしても、それだけでは雇用も賃金も改善しません。消費税の増税は中止し、国民の所得を増やし経済を活発にして暮らしを向上させる政治に、根本から転換すべきです。


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