2013年10月9日(水)
水俣の教訓を生かす
水銀条約採択へ報告会
水銀による健康・環境破壊を防ぐための「水銀に関する水俣条約」の署名・採択に向け、7日から熊本市で準備会合が始まりました。会場では8日、NGOが「水俣病からの教訓と水銀条約」と題したサイドイベントを開き、各国の会議参加者ら約100人が報告に聞き入りました。主催は化学物質問題市民研究会と有害物質の廃絶をめざす国際NGO、IPENです。
水俣病被害者を支援してきた谷洋一さんは、「水銀汚染から60年たつが、いまだに若い世代に頭痛や肩こりがある」と語り、「実効力ある条約にしてほしい」と訴えました。被害者の坂本しのぶさんは「救済にこんなに時間がかかることを繰り返してほしくない」と声を震わせました。
岡山大学の津田敏秀教授は、推定7万人ともいわれる水俣病の公式患者数を2270人に抑えている日本政府の対応を批判。ヨルダンからの参加者は「1970年代の学生のときに公衆衛生を学び、水俣病を知った。日本は先進国なのに半世紀以上も解決されないのか」と驚いていました。
国連環境計画(UNEP)が主導した同条約は、10日に140カ国・地域が参加する外交会議で署名・採択される予定です。患者・市民団体で構成する「水俣から水銀条約を問う会」は7日、各国政府に対し、早期の批准や、水銀規制の強化などを求めた要請書を、日本政府・熊本県に対し、水俣病被害の全容解明や補償制度の確立などを求めた要請書を発表しました。