2013年10月10日(木)
核廃絶の“流れ”強く
国連第1委 上級代表が訴え
【ニューヨーク=島田峰隆】第68回国連総会は、分野別の委員会での討論に入り、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会では7日から一般討論が始まっています。同日発言したアンゲラ・ケイン軍縮問題担当上級代表は、核兵器をめぐり「二つの流れの対決がある」とし、委員会が核廃絶の流れを強めるよう呼び掛けました。
ケイン氏は、核兵器の非人道性についての国際的な認識の強まりなど「核兵器に対する全体的な嫌悪が強まり、将来の前進への環境がつくられつつある」と指摘。「核兵器を不可欠の政策と考える逆流」があるものの「川の流れを変えることはほとんどないだろう」と語り、第1委員会が核軍縮を目指して「新しい前進に向けた世界の期待の潮の流れ」をつかむよう訴えました。
8日までの討論では、非同盟運動を代表して発言したインドネシアが「核兵器の使用や威嚇を許さない唯一の保障は核兵器の全面廃絶だ」と強調。▽包括的な核兵器禁止条約の交渉開始▽9月26日を核兵器全面廃絶の日に制定▽2018年に核軍縮の国際会議を招集―の3点を盛り込んだ決議案を提出する意向を表明しました。
これにはカリブ共同体・共同市場を代表したジャマイカ、アフリカ・グループを代表したナイジェリアのほか、マレーシア、アルジェリアなどが相次いで支持を表明しました。
ナイジェリアは「核兵器の削減は正しい方向だが、全面廃絶の代替となると誤解してはならない」と力を込めました。
マレーシアは、9月26日の核軍縮に関するハイレベル会合で多くの国が核廃絶を訴えたことと、核兵器の非人道性への認識が広がったことなどについて「重要な前進」だと歓迎しました。
バーレーンはアラブ・グループを代表して「核兵器が存在する限り、世界の平和は達成できない」と発言。中東の非核化を目指す国際会議が延期されていることに懸念を示し、早期開催を求めました。
新アジェンダ連合のアイルランドは「化学兵器が禁止されたように、核兵器の時代もすでに終わっている」と指摘。「核兵器使用の悲劇的な結果を考えれば行動が必要だ」と指摘しました。