2013年10月17日(木)
イランが核問題解決へ譲歩案
双方「前向き」と評価
6カ国との協議
【パリ=浅田信幸】ジュネーブからの報道によると、イランの核開発問題をめぐり15日から始まった同国と国連安保理常任理事国(米英仏ロ中)にドイツを加えた6カ国との協議で、イラン側が譲歩案を出し、踏み込んだ論議が行われています。初日の協議については双方が「積極的だ」と評価。また、協議に参加している米国とイランの高官が15日に会談するなど、前進ムードが高まっています。
イラン側の提案の内容は明らかにされていませんが、同国のアラグチ外務次官はイラン人記者団に、「(これまでの交渉の停滞を)突破できる提案だ」と強調し、6カ国が提案を「歓迎した」と述べました。
6カ国側のメディア担当を務める欧州連合(EU)のマン報道官は初日の会合後、記者団に「(核協議で)初めて詳細な技術面の議論が行われた」と評価し、イラン側が従来以上に実質的な提案を出したことを示唆しました。
英BBC放送がイラン国営放送の報道として伝えたところによると、イラン側はウラン濃縮レベル引き下げの提案を行ったとのこと。濃縮レベル引き下げは、国連がイランに要求している核心部分とされています。
米・イラン高官の会談はシャーマン国務次官とアラグチ外務次官の間で行われたもので、両国政府高官による直接会談は、9月にケリー米国務長官とザリフ・イラン外相が行って以来。この会談についても、米国務省高官は「有益だった」と語ったと伝えられています。
イランの核開発問題 2002年にイランの反体制組織が秘密の核施設の存在を暴露しました。イランは国際原子力機関(IAEA)への申告義務を果たさず、査察も受けていなかったことで国際社会に核開発疑惑が浮上しました。05年に当選したアハマディネジャド前大統領が独自の核開発技術を獲得するとの強硬姿勢をとり、IAEAは問題を国連安保理に付託。安保理は08年までに3度の制裁決議を採択しています。イラン側は核兵器開発の意図を否定し、核不拡散条約(NPT)加盟国として認められた平和利用の権利だと主張しています。