2013年11月1日(金)
ベトナム TPP 畜産に打撃
米豪などの肉輸入増
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【ハノイ=松本眞志】環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加しているベトナムで、TPPが自国の畜産業に深刻な打撃を与えるとの懸念が広がっています。
28日には、ベトナム電子メディア「ベトナム・ネット」が、英字紙ベトナム・インベストメント・レビューの「ベトナムの(畜産物)生産者を脅かす自由貿易」と題する記事を紹介しました。
記事は、「TPP発効後に畜産部門が打撃を受けることが予想される」と指摘。タイからの支援を受けた食品会社「CPベトナム」のキエウ・ミン・ルック代表は同紙にたいし、TPP発効後は、その加盟国、特に米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドからのトリ肉や豚肉、牛肉などの輸入増加により、自分の会社だけでなく、ベトナムの畜産業者全体が打撃を被るだろうと語っています。
同氏は、「企業にとっては、来年から状況がより困難となる。農家は徐々に(畜産物の)生産を停止して企業は飼料市場を失う」と懸念を示しています。
ベトナム国会の常務委員会に提出された社会経済発展にかんする政府報告も、「(ベトナムの畜産部門が)TPP発効後にもっとも損害を被ることになる」と明記。その理由について、ベトナムの畜産品は品質が悪く、輸入畜産物に対する障壁も限定されている点を挙げています。
ベトナムの食品加工会社の幹部バン・ドゥック・ムオイ氏は、TPPの枠内での関税削減が、「ベトナムの畜産企業にとって大きな難問となる」と述べています。
ベトナム農業開発政策戦略研究所のグエン・ドオ・アイン・トゥアン副所長は、米国やオーストラリアの豚肉がベトナムより格段に安く、TPP発効後は消費者が輸入品にますます傾くことになると語りました。