2013年11月2日(土)
徳洲会事件 徳田議員事務所を捜索
人・カネ依存 問われる政治責任
「ホープ」と持ち上げた首相
議員会館に東京地検特捜部の家宅捜索が入ったのは、2010年1月の小沢一郎民主党元幹事長(現生活の党代表)への政治資金規正法違反容疑での捜索以来のことです。徳田毅衆院議員は、特捜部の強制捜査が9月17日に始まって以降、公の場でいっさい説明しておらず、その政治的・道義的責任がきびしく問われています。
経費は2億円
「徳洲会」グループによる選挙活動は、徳田議員の陣営に傘下の病院などの看護師や事務職員らを運動員として派遣し、昨年11月の衆院解散後から同年12月15日の投票日前日まで、選挙区内で戸別訪問やポスター張りなどに従事させた疑いが持たれています。
各病院などは派遣した職員に対し、12月4日の公示日前は有給休暇を取らせていましたが、その後は欠勤扱いに変更。欠勤による給与の減額分は、賞与に上乗せする形で支払っていました。このほか、1日あたり3000円の日当や交通費、宿泊費なども支給しており、経費は2億円をくだらないともいわれています。
徳田議員は、自由連合代表で衆院議員だった徳田虎雄徳洲会前理事長の公設秘書や徳洲会理事などを務めた後、虎雄氏の政界引退にともない、2005年の総選挙で無所属で立候補し、初当選。06年に自民党に入党、昨年の総選挙で3選をはたしましたが、いわば、徳洲会グループのカネまみれで獲得した議席です。
10月29日に任意で特捜部の事情聴取を受けた虎雄氏は、選挙期間中、「病院をつくるには政治力が必要だ」などとグループ幹部らを鼓舞していたといいます。
政治資金収支報告書をみても、徳田議員が支部長の自民党鹿児島県第2選挙区支部は、10〜11年の2年分で集めた個人献金、企業・団体献金の9割、1億6640万円が親族、ファミリー企業からのものでした。
徳洲会グループの収入の原資は国民の保険料です。グループのなかには、特定医療法人や社会医療法人など高い公益性が認められ、税制上の優遇措置を受けている法人もあるだけに徹底的な解明が求められています。
ポストを保障
同時に問われるのは、自民党、安倍首相の責任です。
安倍首相は投開票日の翌日、徳田議員が都内のホテルで開いた政治資金パーティーに出席、「自民党のホープ。日本のホープ。とにかく選挙に強い」と持ち上げ、第2次安倍内閣で、さっそく国土交通・復興政務官に就任させました。さらに過去の女性問題が発覚、ことし2月、政務官を辞任した徳田議員を国会対策副委員長にすえています。 (藤沢忠明)