2013年11月7日(木)
秘密保護法案 記者、国会議員の接触 報告求める通達
防衛省 調査活動を監視
“報道の自由配慮”は空手形
秘密保護法案のさまざまな危険性が指摘されていますが、防衛省・自衛隊はすでに組織的に記者や国会議員の調査活動を監視しています。広報部を通じた“防衛省公認”の取材しか「取材ではない」と国民監視を任務とする自衛隊情報保全隊の元隊長が裁判で証言していますが、自衛隊員が記者や国会議員に接触を受けた場合、必ず報告するよう防衛省が事務次官通達を出していたことが、本紙が入手した資料でわかりました。
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問題の通達は、防衛省が2006年12月に出した「部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領について」と題した文書と、その「Q&A集」です。
質問「記者や国会議員も『部外者』に含まれるのか」
答え「記者(記者クラブの所属の有無を問わない)、国会議員、他省庁の職員等も『部外者』に含まれる」
通達では、自衛隊員が「部外者」から「再三にわたる電話、電子メール等により接触、職務に係る情報の提供を求められた場合」など、職場の「保全責任者」に報告することを求めています。
「働き掛け」の内容によっては、「情報保全隊と適切に連携する等必要な措置を講じなければならない」としています。
仙台高裁で行われている情報保全隊の国民監視差し止め訴訟では、元保全隊長の鈴木健氏が「取材は広報を通じてされるものであると認識をしています」と証言。記者が、広報を通さず、自衛隊員に個別に取材する行為が監視対象になりうると認めました。
日本弁護士連合会の秘密保全法制対策本部副本部長の井上正信弁護士は「元隊長の証言は、事務次官通達を念頭に置いたものではないか」と指摘します。
通達にある「再三にわたる電話、電子メール等により接触」は、記者が取材対象に取材協力を得る際、普通に行うことです。
ところが通達は、これを「不自然な働き掛け」として、監視の対象にしています。秘密保護法案のいう「報道または取材の自由に十分配慮」が、まったくの“空手形”であることを示しています。
また、通達では日本の国会議員や他省庁の職員が「部外者」となる一方、米国政府の職員は「部外者」から、除外されています。