2013年11月12日(火)
イラン核協議
前進するも合意持ち越し
次回20日再開で成立に期待
【パリ=浅田信幸】イランの核開発問題をめぐり7日からジュネーブで開かれていた国連安保理常任理事国(米英仏ロ中)にドイツを加えた6カ国とイランとの協議は、予定を延長し3日間の論議を行ったものの合意に達しないまま終わりました。関係者は次回20日に再開される協議での合意成立に期待をかけています。
ケリー米国務長官は10日未明の記者会見で「一連の重要な前進があった」と強調。「向こう数週間のうちにもゴールを確実なものにできる」と、合意達成の見通しを語りました。
イランのザリフ外相も合意未達成について「失望していない」と表明。「われわれは一緒に仕事し、幸いにも次回会うときには合意に達することができるだろう」との見方を示しました。
協議は8日、中東歴訪中だったケリー氏が予定を変更して急きょジュネーブ入りし、続いて英仏独の外相も到着したことから、外相級に格上げ。合意達成が間近いとの観測が流れたものの、これにブレーキをかけたのはフランスでした。
合意案がどこまで進んだかの内容は未公表ですが、ファビウス仏外相はイランの核兵器開発の疑いを取り除くことはできない案だと判断したもようです。
メディアによると、米国のある外交官は「米国と欧州連合(EU)とイランはこの合意案で数カ月にわたり勢力的に作業してきた。土壇場になって交渉に割り込もうとするファビウスの試みだ」と批判。ザリフ外相もイラン国営放送で「6カ国側に意見の不一致がある」と、合意不成立の原因がフランスの姿勢にあることを示唆しました。
フランスが特に重視しているのは、プルトニウム生成につながるイラン南部のアラク原子炉の稼働問題と20%に濃縮されたウランの貯蔵問題だと伝えられます。