2013年11月15日(金)
原爆症
検討会で報告書案を提示
被団協「認定拡大にならず」
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原爆症認定制度の見直しをめぐる厚生労働省の検討会は14日、同省内で会合を開き、約3年間の議論をふまえた報告書案を提示し、議論しました。報告書案は、認定基準の緩和を求める司法判断を事実上無視して現行制度を維持するだけでなく、原爆放射線の影響を狭く見て、認定範囲をさらに狭めることにもなりかねない方向を打ち出しました。
一方、報告書案は、現行制度を廃止し、司法判断に沿ってより広く被爆者を救済する制度を創設することを求める日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の提案や意見についても明記せざるをえませんでした。
神野直彦座長(東京大学名誉教授)は、今回会合で出された意見を考慮し、次回会合で報告書をまとめたいとのべました。
会合後の記者会見で、検討会委員を務める日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「(この報告書案では)まったく認定の拡大にならない。いまの基準のままでいいし、それ以上に広げるべきでないという中身になっている」と批判。被団協は次回会合に報告書案の対案を出す予定です。
安倍晋三首相は8月、国に原告全員の認定を命じた大阪地裁判決に対する控訴を断念し、年内に検討会の報告書をとりまとめるよう指示していました。