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2013年11月25日(月)

COP19閉幕 前進も合意は最小限

消極的議論 安倍政権けん引

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 ワルシャワで開かれた国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)は、最大の課題であった2015年合意をめざす新たな国際的枠組み作りへの最小限の道筋をつけて閉幕しました。

 温暖化を背景とする短期・長期の被害である「損失と被害」への対処でも「ワルシャワ国際メカニズム」と称する機構とその執行委員会の設立が決まりました。

森林保全へ合意

 温室効果ガスの排出では全体の2割を占める森林減少・劣化に対して、保全への国際的な取り組みを進めることが初めて合意されたことも重要な前進面といえます。

 その一方で、温室効果ガス排出削減の新たな国際的枠組みについては、各国が行う貢献の内容はそれぞれの国が定めるものとされ、検証の仕組みもありません。全体としてどれだけの排出削減をめざすのかの目標数値も打ち出されませんでした。

 また気温上昇を、産業革命前から2度以下に抑えるために、新たな枠組みが発効する20年までの削減目標を底上げする問題も対立が解消されず、進展はありませんでした。

 代わって先進国と途上国の間で最大の論点となったのが支援資金の問題でした。先進国は20年以降、温暖化対策として途上国に年1000億ドルの支援を行うことを確認しています。これを管理運用する「緑の気候基金」も設立されていますが、金庫の中は空だといわれます。

 このため中国やインドなどは17年に700億ドル支援の中間目標を明示せよと主張。これを拒否する先進国との対立が、排出削減をめざす実質的論議から焦点をそらし、一時は会議そのものが何の合意もないまま終了しかねないとの懸念を生みました。

 オブザーバー参加のNGO代表数百人が予定された最終日の前日、会議のボイコットを宣言し、抗議の意思を表明したのも、こうした事情からでした。

「値引き」レース

 さらに会議全体を通じて温室効果ガス排出削減の議論を消極的なものにしたのが、安倍政権の05年比3・8%減(1990年比で3・1%増)という目標値の発表です。ある意味で目標値の「値引き」レースを引っ張る役割を果たしたともいえます。

 COP19が始まる前には気候変動政府間パネル(IPCC)が報告書を発表。現状のまま推移すれば、今世紀末までに気温が最大で4・8度上昇、海面は82センチ上昇すると警告しました。会期中には世界銀行が、温暖化を背景とする異常気象の経済被害がこの10年間、年に20兆円に達しているとの調査結果を公表しています。

 温暖化防止の対策をとることは文字通り待ったなしの状況です。安倍政権には世界的な責任が問われています。(ワルシャワ=浅田信幸)


COP19の合意骨子

一、2020年以降の温室効果ガス削減目標を、15年12月開催予定のCOP21の「相当前」に提出

一、準備が整った国は「15年3月まで」に提出

一、14年のCOP20までに、各国が削減目標を策定する際に盛り込む必要のある情報を整理

一、途上国への資金支援に関する中期目標策定は見送り

一、温暖化が原因とみられる台風や海面上昇などによる「損失と被害」への対応のため、新組織「ワルシャワ国際メカニズム」を設置


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