2013年12月12日(木)
核兵器使えば20億人飢餓
国際医師会議が報告 “廃絶が緊急課題”
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【ワシントン=洞口昇幸】米マサチューセッツ州に本部を置く核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は10日、限定的な核兵器の使用であっても、その影響で少なくとも世界人口の4分の1である20億人が飢餓の危険にさらされるとする新たな報告書を発表しました。
今回の報告書は、昨年4月に同会議が発表した報告書「核の飢餓」を更新したもの。昨年の報告書では核兵器使用がもたらす気候変動で食料生産が低下し、10億人が飢餓に陥る危険があるとしていましたが、核爆発の気候に対する影響を「かなり過小評価していた」ことが新たな調査で分かり、20億人となりました。
今回の報告書は、限定的な核兵器の使用、たとえばインドとパキスタン間の核戦争や、米ロが保有する核兵器のほんの一部が使用された場合でも、世界の気候と農業生産は崩壊すると述べています。
「核兵器の一部分の使用でも、私たちが以前考えていたよりはるかに、世界的に大規模な犠牲者を生む」と、報告書を書いた同会議共同代表のアイラ・ヘルファンド氏は声明のなかで強調しました。
その上で、核兵器保有国を含む世界の国々が、核戦争のもたらす脅威や結果を取り除くために努力する必要性を指摘。「私たちは核兵器を廃絶しなければならない」として、核廃絶が緊急課題であることを改めて訴えています。
核戦争防止国際医師会議(IPPNW) 核戦争防止と核兵器廃絶を求める医師や医学生、医療従事者とその支持者で構成する国際NGO(非政府機関)。1980年、旧ソ連と米国の2人の医師が提唱し設立。日本を含む62カ国に支部を持ち、数十万人が参加。85年、核戦争の「破滅的な結果について権威ある知識を広め、人々の認識を高めることで人類に多大な貢献をした」としてノーベル平和賞を受賞。