2013年12月17日(火)
原爆症認定で新基準 厚労省分科会
被爆者の要求退ける
被爆者からの原爆症認定申請を審査する厚生労働省の被爆者医療分科会は16日、同省内で会合を開き、同省が示した新しい認定基準を了承しました。現行基準を後退させ、被爆者の間に新たな線引きを持ち込むものです。
がんや白血病、副甲状腺機能亢(こう)進(しん)症は、爆心地から3・5キロ以内で直接被爆したか、原爆投下後100時間以内に2キロ以内に入市したなどの条件に該当すれば原則的に認定します。しかし、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変は2キロ以内の被爆または投下翌日までの入市を積極的に認定すると限定。放射線による白内障は1・5キロ以内の被爆を積極認定するとしました。この七つの病気以外に積極的に認定する病気は追加されませんでした。
認定制度の抜本改定を求める被爆者の要求を退けたことに対して、日本原水爆被害者団体協議会などは同日、同省内で記者会見を開き、「残留放射線の影響や被爆の実態をふまえて認定してきた司法判断を無視するものである」と抗議する声明をだしました。
広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は同日、首相官邸で加藤勝信官房副長官と面会し、安倍晋三首相あてに認定範囲の拡大を要請しました。