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2013年12月20日(金)

猪瀬氏辞任ではすまない

東電病院・公選法違反・架空計上…未解明疑惑こんなに

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 医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取っていた問題で、19日に辞任会見した猪瀬直樹都知事は、この日も「個人的に借りたものだ」との説明を繰り返しました。しかし、5000万円の趣旨や「手をつけていない」などの言明の真偽については、未解明のままで、疑惑は深まるばかりです。


初対面なのに

写真

(写真)大勢の報道陣に囲まれ、辞職の記者会見をする猪瀬都知事=19日、東京都庁

 最大の疑惑は、なぜ、徳洲会側が初対面の猪瀬氏に5000万円もの大金を渡したかということです。

 徳洲会グループは、都内に東京西徳洲会病院(東京都昭島市)を抱えていますが、都心部での病院開設が悲願でした。

 猪瀬氏は都知事選出馬のあいさつのため、昨年11月6日、徳田虎雄前理事長が療養する神奈川県鎌倉市の病院を訪問。虎雄氏側からは、東京電力病院(東京都新宿区)の取得をめざす考えが伝えられ、猪瀬氏もみずからが東電に売却を迫ったと指摘されています。

 東京都は東電の大株主。猪瀬氏は、副知事だった昨年6月、東電の株主総会で、東電社員らしか診療を受けられないことや、ベッドの稼働率の低さを指摘。東電病院の売却を強く要求していたのです。

 東電病院について虎雄氏とやりとりをした2週間後の11月20日、猪瀬氏は徳田毅衆院議員から5000万円を受け取り、翌21日に都知事選立候補を表明しました。

 猪瀬氏は、昨年10月、東電から東電病院の売却手続きに入ることの報告を受けるなど、利害関係が疑われる職務にも関与しており、徳洲会が5000万円の見返りに便宜供与を求めた疑いがあります。当選後の知事の権限に期待して資金を融通した可能性もあります。

知事選の直前

 同時に重大な焦点となるのは、猪瀬氏が5000万円を知事選の選挙運動収支報告書に記載しなかった問題です。

 猪瀬氏は「選挙とはまったく関係ない」といいますが、選挙直前という授受の時期や「借用証」の信用性などの疑惑は払拭(ふっしょく)できておらず、公選法違反(虚偽記入罪)の疑いが強まります。また、5000万円は政治資金規正法の量的制限も大きく超えています。

 知事選の収支報告書をめぐっては、事務員ら4人が記載されている人件費や宿泊費計103万円を「受け取っていない」と証言するなど架空計上の疑いも浮上しています。

 同報告書によると、猪瀬氏は自身からの3000万円を11月17日に拠出したことになっています。徳洲会から5000万円を受け取った3日前となりますが、この“自己資金”は5000万円の一部ではないのか、「3日前」は虚偽ではないのか―。

貸金庫の意味

 「5000万円に手をつけていない」と説明しても、猪瀬氏が都議会に提出した資料には、知事選直後の昨年12月18日と今年2月1日に5000万円を保管していた貸金庫を利用した記載があります。この貸金庫利用の理由は―。

 多くの点で解明が必要です。

最後の会見でも詭弁

説明二転三転 「小さな間違い」

 猪瀬直樹都知事の辞任会見は、疑惑について「これまで繰り返し説明してきた」とのべるだけで、最後まで反省のみられないものでした。

 冒頭、猪瀬氏は「都民国民の皆様には大変心苦しく申し訳なく思っております」とおわびをしました。

 しかし、おわびとは裏腹に「自分なりに説明責任を果たすべく、努力を続けてきた」などと、自身を正当化しました。

 この間の説明について猪瀬氏は「できる限り、ファクト(事実)に忠実に発言してきたつもりですが、一部に記憶違いがあったり、『2000何年の何月何日にどうだったか』とか、聞かれても一瞬で答えられないこともありましたので、小さな間違いがあったということであります」と発言。二転三転してきた説明を「小さな間違い」ですませる居直りぶりが垣間見えました。

 猪瀬氏の詭弁(きべん)が露呈したのは、東電病院の売却をめぐる疑惑についての質問でした。

 徳洲会の徳田虎雄理事長(当時)と知事選出馬のあいさつで面会した際、「病院の売却は話題になってない」と説明してきた猪瀬氏。

 この間の報道で、徳田氏と病院売却について話していたことを指摘されると、「記憶になかったが、そういう会話があったというぐらいのこと」と、これまでの虚偽説明への反省はありませんでした。


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