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2014年1月20日(月)

農山村 木質燃料生かす

ハウス暖房で重油を大幅削減

家族農家の知恵 エネルギーの地産地消

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 農山村に豊富にある木材資源をエネルギーにする取り組みが広がっています。野菜のビニールハウス内の暖房や家庭用の温水利用もその一つです。屋敷林や家屋の廃材、里山の雑木も利用できます。高騰する重油を節約し、エネルギーの地産地消もおこないます。地域に結びついた家族農家の知恵です。(中沢睦夫)

◆まきボイラー

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(写真)「まきボイラー」に木材を詰め込む吉原一雄さん(右)と息子の琢朗さん=茨城県筑西市

 「まきボイラーを使ってから重油の使用量は4割ぐらい減ったよ」。茨城県の西南に位置する筑西市で冬季のキュウリ栽培をする吉原一雄さん(62)は、「まきボイラー」の大きな効果を語ります。

 重油が燃焼すると、大気汚染の原因となる硫黄酸化物が出ます。木質資源は出ません。排出する二酸化炭素は、草木が成長するときに吸収します。「茨城県の環境担当の人が見て『これは重油よりよほどすばらしい』といっていたね」と吉原さん。

 約1メートル四方の投入口に木材を入れ、鉄板のふたを閉めて下に詰めた紙に火をつけると勢いよく燃えます。ボイラーの後ろは空洞になっており、小型ファンで温風を送ります。「ダクト(風導管)」といわれる袋状の管でハウス内に広がります。

 重油ボイラーとの併用です。追加の木材も投入しますが、朝はまきボイラーが止まります。温度探知機能がある重油ボイラーが自動的に動きだし、ハウス内の温度調節する仕組みです。

◆手作りで安価

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(写真)まきボイラーの温風を運ぶ「ダクト」(右)。奥にあるのは重油の暖房機

 施設園芸は、安定した出荷ができますが、冬場の暖房が欠かせません。「アベノミクス」(安倍政権の経済政策)の影響もあり、ハウス暖房に使う輸入重油が高騰し、経営を圧迫しています。

 地域の木質資源を活用できないかと、まきボイラーを考案したのは、同市でミニトマトをハウス栽培する藤沢修さん(63)です。重油が一時高騰した7年前になります。

 藤沢さんは「できるだけ安価でハウス内に満べんなく温風が行き渡るようにできないかと考え、結局、自分でつくることになった。20万円はかからなかった」と振り返ります。昨年は改良型も開発。「ミニトマトの場合、8割から9割の暖房時間は、まきボイラーで対応できている」といいます。

◆地域つながり

 燃料となる木材資源は、地域に豊富にあります。平地林や屋敷林の伐採木、家屋の廃材が持ち込まれます。地域の造園業者や解体業者とのつながりが生きています。産業廃棄物として焼却処理をしている木材が再活用できています。

 藤沢さん、吉原さんは、まきボイラーの効用について確信を持ちます。「業者に声をかけると、『産廃処理には費用がかかるから、使ってもらうと助かる』と喜んで持ってきてくれる。まきボイラーは、地域のつながりが大切。自動的な重油ボイラーに比べ、手間もかかるが重油を減らせる。家族農業が対応できる、環境にも良い仕組みだと思う」

 藤沢さんや吉原さんの活動には県外からも視察があります。筑西市では、まきボイラーを導入する農家が増えているといいます。

「里山がきれいになる」

家庭用ウッドボイラー

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(写真)木材の投入口を開けて「ウッドボイラー」を紹介する小倉さん=千葉県栄町

 木をそのまま燃やして家庭用の温水や床暖房に使えるのは「ウッドボイラー」です。

 木を燃やした熱湯の「貯湯槽」の中に、水道水の管をコイル状にして通し、熱交換して温水を供給する仕組みです。床暖房をするためには不凍液を入れます。

 農民連、産直組織の「農民連ふるさとネットワーク」や産直農協組織が昨年11月に開催した「ふるさと産直 みほん市」でも展示されました。

 千葉県でウッドボイラーを導入した小倉毅さん(千葉県農民連事務局長)は「平地林や屋敷林は、何か目的がないと放置しておく。このボイラーは、生木の丸太でも枝でも燃料になるので切って使える」といいます。

 価格は、50万円程度からの本体や工事費でさまざまですが、灯油や電気代に比べ維持費は安くなっています。

 小倉さんは「地域の業者から『シンプルな装置だから』とすすめられた。里山は荒れていて全国的に獣害がひどいが、ウッドボイラーで里山の雑木を切れば、その対策にもなるのでは」といいます。


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