2014年1月21日(火)
イラン核合意 履行開始
高濃縮ウラン生産を停止
イランのザリフ外相は20日、国連安保理常任理事国(米ロ仏英中)にドイツを加えた6カ国との核協議合意「第1段階」措置(共同行動計画)を開始したと表明しました。6カ国側はイランの履行状況を見極めつつ「包括合意」に向けた新たな交渉を始める予定です。(野村説)
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6カ国側は制裁緩和へ
イラン政府は、合意に基づき濃縮度20%の高濃縮ウランの生産を20日正午(日本時間同日午後5時半)から停止したと発表しました。
英字紙テヘラン・タイムズ19日付(電子版)によれば、イランのナジャフィ国際原子力機関(IAEA)担当大使は地元メディアに対し、高濃縮ウラン生産停止の作業に立ち会うため、IAEA査察官が中部ナタンツやフォルドゥのウラン濃縮施設に足を運ぶ予定だと語りました。
イランの核開発問題をめぐって昨年11月に合意した「第1段階」では、イランはまず濃縮度5%以上のウラン生産停止や、核兵器への転用が懸念される濃縮度20%のウランを5%を下回る濃度にする措置を始めます。さらに、ウラン濃縮に必要な設備を解体し、濃縮能力の向上に関わる行為を停止することや、同国西部アラクの重水炉施設(建設中)の稼働に向けた行為を停止します。
一方で6カ国側は、イラン資産約42億ドル(約4400億円)の凍結解除など部分的な制裁緩和を見返りとして約束。イランと6カ国側は「第1段階」合意後の6カ月間に、イラン核問題の包括的な解決に向けた枠組みを話し合うことになっています。
IAEAの天野之弥事務局長は先週、査察作業をどう進めていくかを協議するため、臨時会議を24日に開催するようIAEA理事会(35カ国で構成)に対し要請。ロイター通信は13日、次回のイランと6カ国の交渉が2月に行われるとの見通しを伝えています。