2014年2月19日(水)
新幹線談合 鹿児島ルートでは
政官財癒着 くっきり
異常な高落札率 献金10億円 40人天下り
北陸新幹線の融雪設備工事で談合があった容疑で、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出すなど、官業癒着の悪弊がまたもや浮き彫りになりました。新幹線工事をめぐっては、これまでも談合の疑いなどが再三、明らかになっており、腐敗の構図に徹底的にメスを入れる必要があります。 (藤沢忠明)
ここに少し古いとはいえ、貴重な資料があります。
99%以上も
1999年度〜2005年度の7年間におこなわれた九州新幹線鹿児島ルートの建設工事、280件の契約実態です。国土交通省の提出資料を日本共産党の小沢和秋衆院議員(当時)が分析したもの。
これによると、落札率(入札予定価格に対する落札額の割合)が90%以上だったのは、260件(92・9%)にのぼりました。
このうち、発注側が入札前に予定価格の情報を業者側に伝えていたとしか、考えられないような落札率99%以上の契約は、100%5件をふくむ31件(11・1%)もありました。
たとえば、鹿島建設、住友建設、西武建設の共同企業体(JV)が落札した「薩摩田上トンネルほか2工事」(鹿児島市武岡)は99・8%、清水建設、三井建設、東洋建設のJVが落札した「桑川内トンネルほか3工事」(熊本県芦北町)は99・7%でした。
まさに官製談合というべきものです。
九州新幹線建設工事の受注企業をめぐっては、小沢議員が、03年2月の衆院予算委員会分科会で、九州選出の「九州新幹線鹿児島ルート議員連盟」のメンバーら9人などに、95年〜01年までの7年間で10億円を超える政治献金をおこなっていたことを明らかにし、新幹線建設を利権にした企業と政治家の癒着を追及したことがあります。
原資に税金
同じく大沢辰美参院議員(当時)は、02年12月の参院国土交通委員会で、新幹線工事の発注元である日本鉄道建設公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)から、当時建設中だった北陸・九州両新幹線工事の受注企業に40人が役員として天下っている事実を指摘。政官財の癒着を断ち切ることを求めました。
今回の北陸新幹線の融雪設備工事でも、談合企業が森喜朗元首相ら自民党政治家に献金していたことが、明らかになっています。(本紙11日付)
安倍自公政権は、「国土強靭(きょうじん)化」の名のもとに、「10年間で200兆円」もの公共事業を進めようとしていますが、原資は国民の税金。無駄な事業へのチェックが求められています。