2014年3月10日(月)
NHK会長問題 現場から
籾井氏が居座り続けるわけ
NHKの籾井(もみい)勝人会長や一部経営委員の相次ぐ暴言に、視聴者・国民の怒りが高まっています。5日午後5時までに視聴者からNHKに寄せられた籾井会長に関する声は約2万9700件。そのうち約64%が厳しい意見でした。
各地で活動する七つの視聴者・市民団体が共同し、籾井会長はじめ、経営委員の百田尚樹(作家)・長谷川三千子(埼玉大名誉教授)両氏の罷免を求める署名活動も先月28日から始まりました。
市民団体の一つ、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表の湯山哲守さんは、「署名は、ネットを含めて5日時点で6000筆を超え、急速に広がっています」。第1次集計分を10日にも経営委員会に届ける予定だといいます。
内部に離反も
視聴者だけでなく海外メディアもきびしく批判。さらに会長を支える10人の全理事も、籾井会長が就任したときに辞表の提出を求められたことを国会で証言するなど、内部からも離反ともいえる動きが起きています。
しかし、籾井氏は6日の定例記者会見で「(今後の仕事を)見ていただきたい」と、辞める気配はさらさらありません。理事から辞表を集めた件も、「辞表を取ったから『俺が全部任免権を持っている』ということではない。仮に役員がそう思ったとすると、そこが緊張感だ」などと、逆に開き直りました。
なぜ籾井会長は強気でいられるのか。湯山さんはこう指摘します。「籾井氏の居座り宣言には驚きましたが、これは『絶対多数』を背景に強権政治を続ける安倍内閣の後ろ盾があるからです。籾井氏を選んだ経営委員会に、これまた放送法に違反する言動を続ける安倍首相の“同志”である百田、長谷川の両氏が支えているので、のらりくらりと居座り続けられるのだと思われます」
“すぐに罷免を”
NHK会長の任免権は経営委員会が握っています。松本正之前会長の後継者選びが焦点になっていた昨年11月、安倍首相は百田・長谷川両氏を含む5人の経営委員(1人は再任)を任命しました。5人とも安倍首相に近い人物です。12月に「籾井会長」を誕生させる布石でした。
経営委員会は籾井会長の暴言に対し、2度にわたり「自身の立場に対する理解が不十分であると言わざるを得ない」と「注意」を与えたものの、罷免の動きはありません。百田・長谷川氏の言動についても、「一定の節度を持って行動していく」とした委員会の見解を出しただけでした。
湯山さんは言います。「籾井氏は、会長決定に先立つ経営委員会(12月20日)の面接で、『常に放送法第1条に回帰しながら進めていく』と強調するなど、委員をだまして選出されました。籾井氏に問われているのは、放送の不偏不党、真実、自律をうたう第1条を踏みにじったことに対する責任です。発言を撤回して免れることではなく、委員会はすぐに罷免すべきです」
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