2014年3月29日(土)
「しがらみない政治」か?
渡辺代表8億円借り入れ
党内では擁護論強まる
「政党を立ち上げるというのは結構お金がかかるし、政党の党首というのは結構物入りな立場なんです」。みんなの党の渡辺喜美代表は27日、記者団から大手化粧品販売会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長から計8億円を借り入れた理由を問われてこう述べました。2009年の同党発足や党首としての活動に必要な資金を、特定企業に依存してきたことを事実上認めたものです。
ところが、同党の水野賢一政調会長は「代表を信じて政策実現に全力をつくす」というだけ。真相の究明や渡辺氏の責任を求める声は同党内でほとんど聞こえてきません。
党内で擁護論が強まる背景には、“個人商店”とやゆされるほどの渡辺氏のワンマンぶりがあります。渡辺氏は、一時は日本維新の会との合流を目指し、その後は、秘密保護法成立に向けた「修正」協議などを通じて安倍政権へすり寄りを強めてきました。みんなの党の一部が分裂し「結いの党」を結党したことで、みんなの党での渡辺氏の“個人商店”ぶりが一層強まりました。
みんなの党の発足や分裂だけでなく、同じ「第三極」の維新との合流の動きなどにも、巨額の資金で渡辺氏を支援してきた吉田会長の意向が働いていたことが、渡辺氏の説明で浮き彫りになりました。
27日の説明で渡辺氏は、「維新との(合流をめぐる)やりとりについては、吉田会長には適宜報告していた」「吉田会長は、維新と(みんなが)合流すべきだというお考えだった」と説明。「結いの党の会派離脱を認めてほしい」とも求められていたといいます。
翻訳・出版関連事業から化粧品製造・販売事業へと軸足を移したDHC側が渡辺氏に何らかの政治的役割を期待していた可能性はないのか。業界や団体との「しがらみのない政治」を実現するなどと語ってきた渡辺氏ですが、特定企業の経営者に巨額の資金を依存し、「政界再編」まで“指南”されてきた実態は、「しがらみ」どころか、癒着関係そのものです。
特定業界と結びつく自民党と変わらない「第三極」の実態が、今回の問題で改めて問われています。
(林信誠)