2014年4月8日(火)
牛肉関税引き下げ 日豪EPA「大筋合意」
国会決議踏みにじる
安倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相は7日、両国政府が交渉してきた経済連携協定(EPA)の「大筋合意」を確認しました。この「大筋合意」は、牛肉を関税削減の対象にしないなどとした国会決議を踏みにじり、決議を守るとしてきた政府の約束も投げ捨てた暴挙です。
農林水産省の試算でも、日豪EPAは日本農業に大打撃を与えます。だからこそ、国会決議は、牛肉を含む農林水産物重要品目を、関税撤廃・削減の対象にしない「除外」か、将来の交渉へ先送りする「再交渉」とするよう求めたのです。
豪側が自動車関税の段階的撤廃を約束したことが「成果」とされます。しかし、輸出大企業に多少の利益があるとしても、日本農業や国民生活への影響と引き換えにすることは許されません。
また、日豪EPAの「大筋合意」で環太平洋連携協定(TPP)の日米交渉が有利になるかのような議論もあります。しかし、「関税撤廃」というTPPの原則が変わるわけではありません。
日本共産党の紙智子参院議員は3月27日の参院農水委で、牛肉の関税削減に応じないよう求めました。全国農業協同組合中央会(JA全中)も3日、「緊急全国要請集会」を開くなど、国会決議の順守を繰り返し求めてきました。これらに対しても、政府・与党は国会決議を守ると約束しており、「大筋合意」は何重もの背信行為です。
(北川俊文)