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2014年4月10日(木)

渡辺氏 8億円深まるナゾ

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 化粧品会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長から8億円を借り入れていた「みんなの党」の渡辺喜美氏は、代表辞任で幕を引こうとしていますが、辞任会見で、ナゾは深まるばかりです。


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(写真)疑惑の核心は8億円の使途―。代表辞任で幕引きとはなりません。写真は、みんなの党が入居するビル=東京・平河町

「違法性ない」?

記載なく違反明白

 渡辺氏は7日の会見で、「違法性はない」と強調しました。しかし、8億円もの大金を借りておきながら、何の報告もしていないことは、「政治とカネ」の透明化を図る政治資金規正法の趣旨に反するものです。

 同法は、第1条で、その目的について、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」とし、政治資金の収支の公開や授受の規正を通じて、「政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする」とうたっています。

 渡辺氏は、7日の会見で配布した文書で、「借入金は、主に党への選挙関係費用や党勢拡大に資するために代表である私が支弁した情報収集・意見交換等のための費用として使いました」としています。

 本来、政治活動のために使われた資金はすべて明らかにすべきです。「個人の借り入れだから法的な問題はない」という言い訳は通用しません。しかも、その使途の詳細について、渡辺氏は「大きな熊手」以外、明らかにしていません。

 会見で、「5年間で、年に1000万円ずつを個人的に使った」とものべましたが、「党勢拡大」のための「情報収集や意見交換」の費用は日常的な政治活動そのものです。こうした支出は、当然、政治資金収支報告書への記載義務がありますが、渡辺氏の関連政治団体の収支報告書には記載されておらず、規正法違反にあたることは逃れられません。

候補者にカネ分配?

もらうと記載義務

 渡辺氏は、「党に貸し付けた2億5000万円のうち、お金に色はついていないけれど、いろんな選挙関係費に使われたのは事実」とのべました。

 選挙期間中に選挙運動に使われた資金は、公職選挙法にもとづき、選挙運動費用収支報告書への記載義務があります。

 みんなの党の2012年の政治資金収支報告書には、2億5000万円の貸し付けや、供託金2億1600万円が東京法務局に供託したことは、記載されています。この供託金の原資は、DHCマネーとみられています。

 12年12月の総選挙には、同党から69人が立候補し、浅尾慶一郎幹事長や、「結いの党」に移った江田憲司代表らを含め、18人が当選しました。

 吉田会長からの借金の一部を渡辺氏が「党勢拡大」のため、候補者に配分し、もらった候補者が選挙運動に使った場合、各候補者側には、選挙運動費用収支報告書に、渡辺氏から受け取った金を「寄付」として、使途とともに記載する義務がうまれます。

残額5億5千万円完済

原資はどこから?

 渡辺氏は、これまで、8億円は全部使い、「手元には残っていない」と説明していましたが、7日の会見では、「妻の口座で管理していた」と説明を一変。口座に残っていた金も使って、借金の残額約5億5000万円を完済したとしました。「足りない分は親類縁者、知人友人にご協力いただいた」とも。

 しかし、妻の口座は「公開しない」と逃げ、新たにひねり出した返済原資は、何なのか、さっぱりわかりません。別のカネを返済に流用した疑いも出てきます。

 党代表辞任では、すまされません。

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