2014年5月20日(火)
川崎病の原因物質
中国東北部から飛来か
川崎病の原因となる物質が中国東北部から飛来している可能性がある―。日本の研究者を含む国際研究グループが、19日公開された科学誌『米科学アカデミー紀要』電子版に発表しました。
川崎病は、主に乳幼児に発症する病気で、高熱が続き、舌がイチゴ状に赤くなったり、手足や体に大小さまざまな発疹が出るなどします。心臓に後遺症が残ることがあります。1961年に日本赤十字社の川崎富作医師が発見したことから、川崎病の名前で呼ばれていますが、原因はまだはっきりしていません。
研究グループは、患者の発生数が季節によって異なることに注目。1977年以降の日本周辺の風の動きをコンピューターでシミュレーション(模擬実験)するとともに飛行機を使って日本上空の大気中を浮遊している物質を採取しました。
その結果、中国東北部から日本へ向かって風が吹いてくる時期と、日本で川崎病の患者の発生数がピークとなる時期が一致。また、その時期の日本上空の大気中には、カンジダというかびの仲間が多く含まれていることをつきとめました。
マウスを使った実験では、カンジダと、川崎病が引き起こす心臓の病気のような症状との関係が示されています。研究グループは、カンジダに関連する物質に川崎病を引き起こすような働きをもつものがある可能性が高いとみています。
川崎病は日本だけでなくアジアの各地で発生しており、最近では欧米でも増加しているといいます。研究グループは、今回見つかったような現象がほかの地域でも起きていないか調べる必要があるとしています。