2014年6月4日(水)
戦地で丸ごと「後方支援」
政府が与党に「新基準」提示
“非戦闘地域”の歯止め外す
政府は3日、自衛隊の海外派兵先で米軍などへの支援を拡大するため、海外での武力行使の「歯止め」としてきた「非戦闘地域」や「後方地域」という枠組みを廃止し、戦地での後方支援を丸ごと可能にする案を示しました。同日開かれた集団的自衛権の行使容認など憲法9条の全面破壊を狙う「安全保障法制整備に関する与党協議」の第3回会合で示しました。日本共産党の志位和夫委員長の追及に安倍晋三首相が認めていた自衛隊の「戦地」派兵を、むきだしの形で示したものです。
武器の提供も可能に
「非戦闘地域」の歯止めは、他国の武力行使と一体化しないための担保として、イラク派兵などに際して派兵法に明記されてきたもの。政府は、これに代わるものとして、「一体化」の新たな基準として4条件を提示しました。(図)
新たな基準によれば、4条件すべて該当する場合以外は「一体化」には当たらず、憲法違反ではないとする考えです。
これが認められれば、戦闘に直接用いられない食料・水、医療の提供などであれば、「戦闘現場」での支援が可能。支援先となる部隊が現に戦闘中でない場合は、武器・弾薬の提供も可能となります。与党協議座長代理の北側一雄公明党副代表も「相当幅広く後方支援ができるようになる」と認めました。
アフガニスタン戦争(2001年〜)やイラク戦争(03年〜)の自衛隊派兵時にあった「戦闘地域に行かない」という歯止めがなくなることで、自衛隊が攻撃を受けて戦闘になり、隊員の血が流れる危険は飛躍的に高まります。
与党協議後、座長を務める高村正彦自民党副総裁は、歯止めの緩和方向について「自公はほぼ一致している」とのべましたが、北側氏は「(自民側と)合意したわけではない」と述べ、食い違いをみせました。
自公両党の協議は政府が5月27日に提示した15事例のうち4事例まで進みましたが、法整備の内容で合意に至った事例はまだありません。自民側は今国会中の閣議決定に向けて協議を加速させるため、会合を原則週2回に増やすことを提案し、公明側も了承。自民側は週内に開かれる次回会合で、集団的自衛権の事例についても議論する意向を示しました。
武力行使との一体化 自らは直接の武力行使をしていなくても、他国軍の武力行使との密接な関係から、日本も武力行使をしていると評価される事案。政府は海外派兵の条件として、自らの武力行使の禁止に加え、「他国の武力行使と一体化しない」ことを挙げてきました。「戦闘地域で活動しない」ことは「一体化」しないための担保です。
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