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2014年6月12日(木)

主張

集団的自衛権行使

「血を流す」閣議決定を許すな

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 安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更の閣議決定を、実質20日までの今国会中に強行しようと、暴走を加速しています。13日の自民・公明の与党協議会に向け、「集団的自衛権」の言葉を明記した閣議決定の文案で合意できるよう強く指示するなど、事態は切迫しています。乱暴極まりない首相のやり方に一片の道理もありません。

密室協議で暴走

 歴代の自民党政権は自衛隊創設(1954年)以来一貫して、集団的自衛権の行使は「憲法9条の下で許されない」との解釈を示し、国会や国民に説明してきました。集団的自衛権の行使容認は、半世紀以上にわたり幾度となく繰り返してきた国会・国民への説明を根底から覆し、日本を「海外で戦争する国」へとつくり変える歴史的な暴挙です。

 戦後の安全保障政策を百八十度ひっくり返す大転換を一内閣の判断だけで行っていいはずがありません。国会にも説明せず、国民的な議論もせず、与党の密室協議だけで強行しようというのは言語道断としかいいようがありません。

 密室協議自体も極めていいかげんです。与党協議が始まったのは5月20日であり、1カ月もたっていません。協議で先にテーマになったのは、武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン)への対処やPKO(国連平和維持活動)での武器使用、多国籍軍への「後方支援」の問題などでした。集団的自衛権について本格的な議論が始まったのは10日になってからです。会期末まで残り10日あまりでまともな検討ができるはずはありません。

 首相が今国会中の閣議決定に執着するのは、集団的自衛権の行使容認ありきの国民無視の姿勢を浮き彫りにするだけです。

 政府が与党協議会で行っている説明を国会で拒否していることも重大です。政府は3日の与党協議会で、米軍や多国籍軍への軍事支援(後方支援)が実施できる4条件を示しました。日本共産党の井上哲士議員が参院外交防衛委員会で内容をただすと、政府は「与党協議が進められている」との理由で答弁を拒みました(5日)。国会での議論も拒否して閣議決定に突き進むのはもってのほかです。

 4条件は、「戦闘地域」で直接の戦闘行為以外のあらゆる軍事支援を可能にするものでした。公明党が4条件に難色を示すと、6日の協議会ですぐさま撤回し、新たな3条件を示しました。自衛隊員の命にかかわる大問題を、こんな節操のないやり方で進めること自体、無責任の極みです。

 しかも、3条件は他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現場」では支援活動はしないというもので、自衛隊の活動中に戦闘の発生が予測されるような危険な地域でも軍事支援が可能です。これまで禁じられてきた「戦闘地域」への自衛隊派兵に本格的な道を開くという本質に変わりはありません。

非現実的な想定

 自衛隊が「戦闘地域」で活動すれば、相手側の攻撃を招き、それに応戦することは避けられません。日本だけ活動を休止・中断できるというのは非現実的です。

 「海外の戦争で日本の若者が血を流す」事態を招く閣議決定を決して許してはなりません。「閣議決定ノー」の声を安倍・自公政権に集中することが急務です。


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