2014年6月14日(土)
混合診療解禁 残業代ゼロ 農協つぶし
規制改革会議が答申
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は13日、保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」の解禁など国民のたたかいで守られてきた医療、雇用、農業の根幹的制度を突き崩す内容を盛り込んだ答申をまとめ、安倍晋三首相に提出しました。政府は実施計画を策定し、27日に閣議決定する予定です。
答申は、(1)健康・医療(2)雇用(3)創業・IT(4)農業(5)貿易・投資―の5分野で235項目の規制緩和を列挙。
健康・医療分野では、混合診療について「患者申し出療養制度」の創設を主張。原則禁止され、一部の先進医療でしか認められていない混合診療を、対象疾病や治療法に制限なく患者が申請すれば、どこの医療機関でも実施できるようにします。
金のあるものしか新たな医療を受けられなくなり、国民皆保険制度を空洞化させ、国内未承認薬の利用が広がるなど医療の安全性を脅かすものです。
「新しい労働時間制度」と称して、労働時間規制を外す“残業代ゼロ”制度である「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入を提起。いつでも解雇できて低賃金の“名ばかり正社員”である「ジョブ型正社員」の拡大も求めており、長時間労働と不安定雇用をさらに広げる内容です。
農業分野では、全国農業協同組合中央会(JA全中)の廃止は見送ったものの、「中央からの指導に基づくものではなく、地域の農協が独自性を発揮できるよう抜本的に見直す」として権限を縮小し新たな制度へ移行するよう求めました。
農地を所有できる農業生産法人への企業の出資規制の緩和や農業委員の選挙廃止など、環太平洋連携協定(TPP)をにらんで、大規模化・企業化に向けて国内農業の再編を行うよう求めています。